東芝は、2014年に子会社化した英国原発プロジェクト会社「ニュージェネレーション(ニュージェン)」の株式を売却し、経営の主導権を手放す方向です。既存の海外原発計画を大幅に縮小し、新たな損失発生リスクを回避する基本方針の一環です。
これには米原発子会社ウェスチングハウスに起因する多額の赤字の件が当然影響していますが、いずれにしてもまことにお粗末なことです。
これまで国内では原子力事業は事実上の国策事業であったために、安穏として過ごすことが出来ました。それが一朝風向きが変わったことでこうした結果をもたらしました。
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東芝 英原発事業を縮小へ 運営会社の株売却検討
毎日新聞 2017年2月1日
東芝が英国で参入した原発新設プロジェクトについて、大幅に縮小する検討に入ったことが1日、わかった。プロジェクトを手がける子会社「ニュージェネレーション(ニュージェン)」の株式を売却し、経営の主導権を手放す方向。米原発事業で最大6800億円程度の損失が発生する見通しとなったことを受け、既存の海外原発計画の大幅縮小に踏み込み、新たな損失発生リスクを回避する。
ニュージェンは英国中部ムーアサイドで2024年をめどに原発3基を稼働させる計画を持つ。東芝は14年にスペイン電力大手イベルドローラからニュージェン株の50%、仏エネルギー大手エンジー(旧GDFスエズ)から10%をそれぞれ取得し子会社化。米原発子会社ウェスチングハウスが設計から建設、原子炉納入まで手がけることがほぼ固まっていた。
だが、東芝は1月27日の記者会見で海外原発事業の縮小を発表。原発の建屋の新規建設から撤退し、廃炉やメンテナンスなどに注力する方針に転換した。安全規制の強化などで建設費用が膨らむリスクがある英国プロジェクトも見直す必要があると判断した。
保有するニュージェン株の一部か全部を売却するとともに原発建屋建設からは撤退。原子炉など機器納入は続けたい意向と見られるが、他の原発企業に経営権を譲った場合、機器納入は困難になる可能性もある。売却先に韓国企業などが挙がっているという。
ニュージェンは18年末までに建設の最終判断をすることになっており、法的には撤退は可能とみられる。ただ、インフラ輸出を進めたい日本政府と、電力不足解消のため原発新設を急ぐ英政府は昨年末、原子力分野で協力する覚書を交わした。東芝が事業を大幅に見直す場合、両政府との調整が必要。損失リスクのある原発子会社の株式売却交渉が難航する可能性もある。【小川祐希】