経産省が「過去の原発事故の賠償費用が積み立て不足だった」としてその費用を国民に負担させる方針を固めたことについて、脱原発を訴える城南信用金庫の吉原毅相談役は、「現代の経済社会のルールを根本から逸脱した考え方で、政府による国民への不当請求だ」と厳しく批判しました。
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<いま原発へもの申す> 過去分の国民負担は政府の不当請求
東京新聞 2017年2月9日
◆城南信金・吉原相談役に聞く
金融機関の立場から脱原発を訴える城南信用金庫(東京都品川区)の吉原毅(よしわらつよし)相談役が本紙のインタビューで、経済産業省が「過去の原発事故の賠償費用が積み立て不足だった」として「過去分」と称する費用を国民に負担させる方針を固めたことについて「責任の所在など現代の経済社会のルールを根本から逸脱した考え方で、政府による国民への不当請求だ」と厳しく批判した。
城南信金は福島第一原発の事故後に脱原発を宣言。二〇一二年一月から電力の購入先を東京電力から原発を持たないエネットに切り替えた。にもかかわらず、費用を請求される。吉原氏は「契約が終わった後に請求するなんて商取引の原則に反している。金融機関にとって、受け入れがたい」と憤りをあらわにした。
吉原氏は「電力会社と契約者の間には電力の供給と料金の支払いという約束しかなく、東電の契約書(約款)のどこにも原発のための料金を支払わなければならないという記述はなかった」と指摘。「国家がやるから許される風潮になっているが、一般の企業がやったら警察や消費者庁が黙っていない」と述べた。(吉田通夫)