中部電力浜岡原発1~5号機の運転停止を求めて行われた仮処分申し立てについて、弁護団が近く全て取り下げる方針だということです。
浜岡原発1~4号機については、2002年4月の静岡地裁に仮処分申立以降10回の審尋が行われ、07年に却下されたので東京高裁に即時抗告しましたが、それ以降は審尋が行われておらず、今月行われた進行協議で高裁の裁判長が「審理に慎重を期すため、適合性審査の結果を見てから判断したい」と発言しました。
5号機については12年12月に静岡地裁に申立て、これまで20回の審尋が行われましたが結論が出ていません。
こうした現状を受け仮処分を求める申し立てを一度取り下げ、現在新規制基準の適合性審査が先行しているる3、4号機で仮に国が再稼働を認めた場合、弁護団は即座に静岡地裁に対する仮処分申し立てで対抗する意向だということです。その方がいざというときに機動的に動けるという考え方があるようです。
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浜岡原発運転停止、仮処分申し立て取り下げへ 弁護団方針
静岡新聞 2017年2月26日
中部電力浜岡原発1~5号機の運転停止を求めて行われた仮処分申し立てについて、代理人を務める弁護団が近く全て取り下げる方針を固めたことが25日までに分かった。申請から約15年が経過し審理が間延びしている上、二つの裁判所に分散している手続きを将来原発に近い静岡地裁に集中させ、有利な結論を導きたいとの戦略もある。
最初の仮処分申し立ては、2002年4月以降、1~4号機について1846人(1~3次)が静岡地裁に対して申し立てた。計10回審尋が行われ、07年10月に却下された。
即時抗告以来、東京高裁で審尋は行われていないのが現状だ。
一方、5号機については、12年12月に776人が同地裁に申し立てた。これまで計20回の審尋が行われたが、結論は出ていない。
東京高裁と静岡地裁でそれぞれ並行する本訴では、今月行われた同高裁での進行協議で裁判長が「審理に慎重を期すため、適合性審査の結果を見てから判断したい」と発言するなど、仮処分でも審理長期化が予想される。
こうした現状を受け、「緊急事態のための制度」としての側面が強い仮処分を求める申し立てを一度取り下げる。25日に県弁護士会館で行われた会議では、5号機について取り下げの方針が了承された。1~4号機も3月半ばに開かれる会議で、撤回の方針を決めるとみられる。
現在新規制基準の適合性審査が先行する3、4号機で仮に国が再稼働を認めた場合、弁護団は即座に静岡地裁に対する仮処分申し立てで対抗する意向を固めている。静岡市内の弁護士は「一度整理し、いざそのときに機動的に動けるようにしたい」と話す。
取り下げには「『私の故郷をどうするつもりだ』との思いに、地元の裁判官なら共感できるはず」という期待もある。1~4号機の仮処分申し立てで代理人を務める海渡雄一弁護士は「地元の静岡地裁で浜岡原発を止める、との意思の表れだ」と解説した。
<メモ>仮処分 訴訟の目的である権利などの保全のために、裁判所によりなされる暫定的な措置。申立人に生じている現状への不安や危険の除去を図るのが目的。放っておくと財産の隠匿や、建築物が着工してしまうことが危惧される場合など、申請から数日で認められることも多い。浜岡原発を巡っては、東京高裁と静岡地裁で運転停止や廃炉を求める本訴が係争中で、仮処分に関する手続きは並行して審理されている。