2015年6月11日木曜日

美浜3号 規制基準審査 基準地震動で対立

 今月から本格審査に入った関電美浜原発3号機審査で、地震強度の想定をめぐり、関電は地震の震源断層深さを「地下4キロより深い」と仮定して、基準地震動を750ガルに設定したのに対して、原子力規制委は「高浜、大飯原発と同様に3キロを検討すべきだ」と要求して、対立しているということです。
 地震の予知ができないのと同様に、地震の強さについても起きてみないと加速度などは分かりません。
 そうであれば絶対に事故を起さないためには、基準地震動を小さく抑えるのではなくて、十分に余裕を持たせる必要があります。
 過去の大地震で装置にかかった地震動は、中越沖地震では2000ガル、東日本大震災では4000ガルであったことを思えば、関電が提示している750ガルはあまりにも小さくてとても納得することはできません。
 
 規制委は関電が同意できるレベルに決めようとしているように見受けられますが、こういう問題で妥協すべきではありません。
 震源の深さが4キロより浅くなることはないと断言できない以上、このケースでは3キロに決めるしかないのではないでしょうか。
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美浜3号安全審査いきなり正念場 関西電力、原子力規制委と対立 
福井新聞 2015年6月10日
 今月から本格審査に入った関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の新規制基準に基づく安全審査で、関電がいきなり正念場に立たされている。地震想定をめぐり、関電は地震を起こす震源断層の深さを「地下4キロより深い」と説明したが、原子力規制委員会は「高浜、大飯原発と同様に(より浅い)3キロを検討すべきだ」と要求。双方の主張が対立し、審査がこう着状態に陥る可能性もある。関電は3号機の40年超え運転延長を目指しているが、審査合格の期限が来年11月末という時間的制約もある中で、対応が注目される。
 
 今月5日の規制委の審査会合で、関電は美浜原発の地下構造や基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)について説明。敷地内の地盤振動の観測データや文献調査などに基づき、震源断層の上端を深さ4キロとし、基準地震動を750ガルに設定したと主張した。
 だが規制委側は計算手法やデータの信頼性に疑問を呈し「この説明では納得できない」と指摘。審査が先行する高浜、大飯原発で深さ3キロに修正した経緯を挙げ「高浜、大飯と同じにするべきとの印象だ」と迫った。
 関電は「高浜、大飯の審査経緯を踏まえ、同様の計算や理論で解を求めた結果として深さ4キロに設定した。美浜と高浜は地下構造が違い、データに基づき客観的に判断してもらいたい」と反論したが、規制委の石渡明委員は「地質構造の点で、若狭地域の高浜と美浜は大体似ている」と譲らなかった。
 震源断層の上端の深さをめぐっては、高浜、大飯原発の審査でも対立し、議論が平行線をたどった経緯がある。当初、関電は深さ4キロを主張したが、規制委は「より安全側に」として3キロに修正するよう求め、結局関電が全面的に受け入れた。
 震源を浅く設定すると、基準地震動が大きくなり、原発の設備などの耐震評価の見直しが必要になり、対策工事が増える可能性がある。大飯は断層から近いため基準地震動の大幅な引き上げを迫られており、耐震の追加工事に長い期間が掛かる状況となった。仮に美浜の設定を3キロに変更した場合は「大飯、高浜より(基準地震動の)影響は大きい」(関電の大石富彦・土木建築室長)という。
 一方、運転開始から38年が経過している3号機について関電は運転延長の申請を視野に入れており、運転延長するには安全審査と延長認可の二つの審査に合格する必要がある。規定により40年の運転期間満了となる来年11月30日までに合格しなければ、廃炉が濃厚となる。
 審査会合ではこの“タイムリミット”を念頭に、規制委側から「(震源断層の深さの)検討が長くなると、全体の審査スケジュールに影響が出てしまうので、この問題にあまり時間を掛けたくない」と、関電に早めの再考を促す場面もあった。
 高浜、大飯原発の審査は地震想定をめぐって対立した影響もあり、安全審査の申請から2年近くたっても審査が終わっていない。美浜で同様に対立が続けば、審査が“時間切れ”となる恐れもある。
 関電の大石室長は審査会合後「(規制委は)印象として安全側の3キロと言ったが、論理的ではなく、感覚的な指導による変更はしてはいけない。科学的な審査を求める」と述べ、現時点で見直す考えはないと強調した。
 関電はデータ分析をさらに進め震源断層の深さ4キロの設定根拠を補強する考えだが、規制委を納得させるのは容易ではないとみられ、対応に苦慮しそうだ。