2015年6月18日木曜日

中電、浜岡3号機の審査申請 周辺自治体は再稼動に否定的

 中部電力は16日、浜岡原発3号機について、新規制基準の適合性審査を原子力規制委に申請しました。同時に昨年月に申請した4号機の審査を優先させてほしいとの希望も書面で伝えました。
 
 中電から報告を受けた静岡県の川勝平太知事と立地市の石原茂雄御前崎市長は、ともに「適合審査と再稼働は別問題」との認識を示しました。特に川勝知事は中電は原発の依存度が低い」と強調し、「浜岡原発の核燃料プールは使用済み燃料でいっぱいだ。再稼働できる状況にない」と述べました。
 
 それとは別に、原発周辺の自治体の首長からは「再稼働には住民の理解が必要」、「審査と再稼働の是非は別」といった声が挙がりました。
 
 牧之原市の西原茂樹市長は「住民や消費者の意向を一切聞かず、地元をないがしろにして再稼働を目指しているということで到底納得できない」と強調しました
 
 掛川市の松井三郎市長は「審査が再稼働に結びつくものではない。国と中電が市民にしっかりと説明し、理解を得られなければ再稼働はできない」、また菊川市の太田順一市長は「安全性を高めるための審査で、再稼働に結び付けるものではない」と、それぞれ述べました
 
 藤枝市の北村正平市長は「地域住民の合意及び関係周辺市町の合意、理解が得られない限り再稼働はあり得ない」、また島田市の染谷絹代市長は「再稼働の是非は別の次元にある。市民の半数強が再稼働に否定的な考えを示す状況を踏まえ、周辺市町と連携して取り組んでいく」と述べました
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中電、浜岡4号機の審査優先を要望
中日新聞 2015年6月17日
◆規制委に3号機の審査申請
 中部電力は十六日、浜岡原発3号機(御前崎市)について、再稼働の前提となる新規制基準の適合性審査を原子力規制委員会に申請した。昨年二月に申請した4号機に続き二基目で、中電は「4号機の審査を優先させてほしい」との希望も書面で伝えた。中電から報告を受けた静岡県の川勝平太知事と立地市の石原茂雄御前崎市長はともに「適合審査と再稼働は別問題」との認識を示した。
 
 3、4号機は原子炉をはじめ大半の設備の構造が同じで、中電には「一基が合格すれば審査のハードルの高さが分かり、残る一基も同じレベルの対策を施せば合格できる」(幹部)との狙いがある。細部の違いで出力性能が高い4号機で先に対策工事に着手しており、工事完了も3号機より一年早い二〇一六年九月を目指している。
 申請段階でも、中電は4号機の先行ノウハウを応用。4号機で約千七百ページだった申請書は、3号機で約三千ページに増えている。「4号機の審査で、もっと記載を充実させてほしいと求められた」(豊田哲也原子力部業務グループ長)といい、火災や竜巻など想定災害の設定根拠や、対策の有効性を評価した解析データなどを添付した。
 
 浜岡原発は、南海トラフ巨大地震の想定震源域に立地する。4号機の審査会合はすでに四十五回を数えるが、うち地震・津波に関する会合はまだ七回。中電が耐震設計の目安として想定した基準地震動が妥当かの検討には、まだ入っていない。
 再稼働には地元自治体の同意が必要だが「現時点では規制基準に適合しているかしっかり見てもらうことがまず大事」(豊田業務グループ長)として再稼働の見通しへの言及は避けた。
 
◆「再稼働は別問題」 知事、御前崎市長強調
 原子力規制委員会に浜岡原発3号機の適合性審査を申請した中部電力は十六日、静岡県庁や地元自治体に幹部社員を派遣し、申請内容を説明した。川勝平太知事は記者団の取材に、当面の再稼働は困難という考えをあらためて示した。
 川勝知事は申請について「原発の安全性チェックは常に必要だ。原子力規制委には徹底的にチェックしてもらいたい」と歓迎する一方で「原発に依存し、再稼働を前提に審査を受けた他の電力会社と違い、中電は原発の依存度が低い」と強調。「浜岡原発の核燃料プールは使用済み燃料でいっぱいだ。再稼働できる状況にない」と述べた。
 
 御前崎市の石原茂雄市長も中電の説明を受けた後の会見で「(4号機の申請同様)今回の申請も再稼働には結び付かない」と述べた。中電に対し「安全対策のためのしっかりとした対応を取ってもらいたい」と注文を付けた。
 
 県庁で説明を受けた県危機管理部は、先に審査が進められている4号機と3号機が同時に被災した場合も想定して安全を確保できるよう対策を求めた。中電静岡支店の西田勘二原子力グループ部長は「現段階では3、4号機それぞれ単独の内容で申請している」と説明。両方が被災した場合でも、事故時の冷却水の容量などは必要な分を満たしているといい、西田氏は「今後の規制委の審査の中で説明していく」と述べた。
 外岡達朗県危機管理監は「審査状況を逐次、県に報告し、県民に分かりやすく説明してほしい」と中電に要請。県の学術会議で引き続き県独自の検証を進めるため、協力関係を続けていくよう呼び掛けた。
 
 
浜岡3号機審査申請 周辺の首長ら反応
中日新聞 2015年6月17日
◆「再稼働 住民の理解必要」
 中部電力が浜岡原発3号機の適合性審査を原子力規制委員会に申請した十六日、原発周辺の自治体の首長からは「再稼働には住民の理解が必要」「審査と再稼働の是非は別」といった声が挙がった。
 
 中電と安全協定を結ぶ地元四市のうち、牧之原市の西原茂樹市長は「住民や消費者の意向を一切聞かず、審査が終了する前に工事を進めるなど、何もプロセスを踏んでおらず、地元をないがしろにしている」と強調。中電側の説明する文書に「使用前検査」と書かれていたことを指摘し「使用前の次は使用になるのではないか。再稼働を目指しているということで到底納得できない」と語気を強めた。
 
 掛川市の松井三郎市長は「審査が再稼働に結びつくものではない。将来にわたり安心安全が確保されることを国と中電が市民にしっかりと説明し、理解を得られなければ再稼働はできない」。菊川市の太田順一市長は「4号機の申請と同様、安全性を高めるための審査で、再稼働に結び付けるものではない。審査の終了で再起動を認めるものではない」とコメントを出した。
 
 浜岡原発から半径三十一キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)七市町と中電との安全協定締結に強い意欲を示し、取りまとめ役を務めている藤枝市の北村正平市長は「再稼働に直結するものではないと考えている。審査を終えたとしても、さらに地域住民の合意及び関係周辺市町の合意、理解が得られない限り再稼働はあり得ない」と文書でコメントした。
 
 島田市の染谷絹代市長は「さまざまな意見、広い角度から安全性について深く議論し、審査いただきたい。もちろん、再稼働の是非は別の次元にある。市民の半数強が再稼働に否定的な考えを示す状況を踏まえ、さまざまな課題に対し、周辺市町と連携して取り組んでいく」とした。