東京電力など原発を保有する大手電力9社は25日、一斉に株主総会を開きました。
そこで原発の廃止など脱原発に絡む事前の株主提案が9社全てに出されましたが、いずれも否決されました。
電力会社は2016年4月に小売が全面自由化され、その時点で、発電・送配電・小売の3区分の事業者に移行することになっています(「発送電分離」は2020年4月)。
それに向けて東電は持ち株会社に移行し、電力の小売り、燃料・火力発電、送配電の三つの社内カンパニーを分社化し、持ち株会社の傘下に置く体制を決めました。
20年4月に始まる大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を先取りしたものです。
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脱原発電力9社株主提案 九電なお「川内早期再稼働」
東京新聞 2015年6月25日
東京電力など原発を保有する大手電力九社は二十五日、一斉に株主総会を開いた。脱原発に絡む事前の株主提案が九社全てに出された。政府が安全が確認された原発は再稼働させる方針を示す中、株主は強い懸念を示した形だ。政府が二〇三〇年に原発による発電割合を「20~22%」と示してから、初の株主総会となる。
東京電力の株主総会は午前十時から、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。個人株主からは原子力発電からの撤退や再生可能エネルギーの優先利用など十五議案が提案された。総会では株主から「目先の利益のために再稼働をすることは不合理」などの意見が出た。
広瀬直己社長は「原発事故の責任を果たしつつ低廉な電気を供給していくことが必要」と再稼働を進める考えを強調した。議決権ベースで東電の50%超の株式を所有し、政府などが出資する原子力損害賠償支援機構は、株主提案に反対の意向で、脱原発などの提案は否決される見通し。株主総会の出席者は正午時点で千九百九十九人。
東電側は電力の小売りが全面自由化されることを見据え、持ち株会社に移行し電力小売り、送配電などの事業を分社化する組織変更など計三議案も提示した。
一方、今夏に川内原発1号機の再稼働を目指している九州電力の瓜生道明社長は総会で、「原発停止で厳しい経営状況が続いている。安全の確保を大前提に、原発の一日も早い再稼働を目指す」と述べた。
株主提案の議案数は九社の合計で七十九議案に上った。九社のうち関西電力の二十二案が最も多かった。
東電、持ち株会社化を決定 脱原発など株主提案
東京新聞 2015年6月25日
東京電力は25日、東京都内で株主総会を開いた。2016年4月に持ち株会社制に移行することを正式に決定した。脱原発などを求めた15の株主提案が事前に出された。原発からの撤退や、日本原燃と結んでいる使用済み核燃料の再処理契約の破棄などを訴えている。東電は全ての株主提案に反対している。株主提案は全て否決され、総会を終えた。
東電は電力の小売り、燃料・火力発電、送配電の三つの社内カンパニーを分社化し、持ち株会社の傘下に置く。20年4月に始まる大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を先取りした組織に変える。 (共同)
泊原発11月再稼働を断念 北海道電社長、株主総会で
東京新聞 2015年6月25日
北海道電力は25日、札幌市中央区のホテルで株主総会を開き、真弓明彦社長は冒頭の事業説明の中で、泊原発の再稼働に触れ「(目標にしていた)11月は諦めざるを得ない」と述べた。原子力規制委員会による審査が続いていることを理由に挙げた。
北海道電は原子力規制委の審査を経て、比較的設備が新しい3号機から再稼働を進める計画だった。真弓氏は2015年3月期の連結決算で配当を見送ったことも陳謝した。
総会では一部の株主が事故時に原発30キロ圏内の住人が避難できる態勢が整うまでは再稼働しないことや、原子力発電部門の分社化など6件の提案をしていたが、いずれも否決された。 (共同)