2015年6月3日水曜日

原発避難区域に屋内水耕式野菜工場

 福島第1原発が立地し、全町避難が続く福島県大熊町に、野菜や観賞用の花を生産する大規模な屋内工場が建設されます
 
 工場の建設予定地は第1原発の南西9キロの居住制限区域ですが、野菜工場は外気から遮断された密閉空間水耕栽培もので、土壌はまったく用いず、放射能を含まない水に肥料成分を溶かして循環させるため、放射能とは全く無縁の野菜が栽培できます。
 放射能汚染地における新しい農業のあり方として注目されます。
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福島県大熊町:原発避難区域に野菜工場 16年度稼働へ
毎日新聞 2015年06月02日
 東京電力福島第1原発が立地し、全町避難が続く福島県大熊町に、野菜や観賞用の花を生産する大規模な屋内工場が建設される。大熊町が栽培技術を持つ企業と提携し、第三セクター方式で来年度中の稼働を目指す。県内のスーパーなどで販売し、地域再生の目玉事業にするつもりだ。
 
 町によると、工場の建設予定地は第1原発の南西9キロの居住制限区域(年間積算放射線量20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)にあり、国は除染を終えている。原発事故の避難指示区域に野菜工場が建設されるのは初めて。
 
 野菜工場では外気から遮断された密閉空間で水耕栽培する。換気もフィルターを通すなど放射性物質の影響を受けないようにする。栽培品種は、レタスなどの葉野菜のほか大根などの根菜も検討している。総工費は12億円を見込み、福島再生加速化交付金を利用する。
 
 生産品の販路も開拓中で、一部のスーパーが店頭販売を検討。野菜工場予定地がある大川原地区には、東電が第1原発の従業員向けに食事を作る給食センターがあり、東電も食材として購入を検討している。
 
 大熊町産業建設課の武内佳之課長は「震災前はおいしい野菜が育った地域。そんな誇りを取り戻したい」と話す。【栗田慎一】 
野菜工場予定地
野菜工場予定地