東電の歴代経営陣が津波対策を怠ったとして起された株主代表訴訟の口頭弁論が18日開かれ、株主側は、東電が2008年9月の会議で使った社内文書に「津波対策は不可避だ」との記載があったと指摘しました。
東電は08年3月ごろまでに、三陸沖津波について従来の想定を上回る最大15・7メートルの津波を試算していて、それをある会議で資料として提示し会議後にまた回収したということです。
検討資料として提示しながら会議後にそれを回収したのは、想定高さに対応した津波対策を取るつもりがなかったからに違いありません。
株主側は「回収予定の文書だから東電の本音を示している」と指摘しました。
東電が事故前に巨大津波の可能性を認識していたという事実が次々と明らかにされています。
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東電「津波対策は不可避」=震災2年半前、社内文書で
-福島第1・東京地裁
時事通信 2015年6月18日
東京電力福島第1原発事故で、東電の勝俣恒久元会長ら歴代経営陣が津波対策を怠ったとして、株主が起こした株主代表訴訟の口頭弁論が18日、東京地裁(大竹昭彦裁判長)であった。株主側は東電が2008年9月の会議で使った社内文書に「津波対策は不可避だ」との記載があったと指摘。「東電は不可避の対策を先送りしたことを自白している」と批判した。
文書は、訴訟に補助参加した東電が提出したもので、東電本社で作成された。08年当時に進められていた国の耐震安全性評価への対応について、本社の担当部署と第1原発幹部との会議で示され、機密性の高い情報として会議後に回収されたという。
東電は当時、三陸沖巨大津波の可能性を示した政府の地震調査研究推進本部(推本)の予測を受け、独自に検討。08年3月ごろまでに、従来の想定を上回る最大15.7メートルの津波を試算していたことが判明している。東電はこれまで「試算の域を出ず、設計上の対策に使えるものではなかった」と説明してきた。
社内文書は、推本の予測について「完全に否定することは難しい」とした上で、「現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避だ」と記している。株主側は「回収予定の文書だから記載されたもので、東電の本音を示している」と指摘した。
これに対し東電は、訴訟の準備書面で「安全性の積み増しという観点から、将来的に津波対策が必要となる可能性は否定できないため記載した」と主張。「津波対策として特定の内容を前提としたものでもない」と反論した。