東電は7日、福島原発事故の避難指示区域内の商工業者に支払っている営業損害賠償を2016年度分までで打ち切る方針を明らかにしました。
先に政府与党の復興加速化プロジェクトチームがまとめた第5次提言を踏まえたものですが、無責任と言うしかありません。またこうしたことを加害者側が宣言するという態度も理解できません。それに与党の提言は慰謝料は18年3月分まで支払うというものですが、東電はそれをも1年縮めています。
もしもその辺を今後の調整代に残しておこうというのであれば、問題をそこに移そうというあまりにも姑息で卑劣なやり口です。
そもそも政府与党の第5次提言は、国による除染が事故から6年目の17年3月までに完了することを前提としていますが、実効的な除染は何も進んでおらず、その時点で地域社会が復活するという保証は皆無です。
政府関係者は「避難指示区域解除が進めば、これまで手つかずだった復興住宅の建設や、産業の誘致も加速化できる」としているということですが、被害者の犠牲を省みないあまりにも身勝手な考え方です。
(関係記事)
5月31日 17年3月に避難指示区域等の解除は理解の埒外
5月20日 東電の原発慰謝料「18年3月分まで」 政府・与党検討
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営業損害賠償16年度分まで 原発事故で東電方針
東京新聞 2015年6月7日
東京電力は7日、福島第1原発事故の避難指示区域内の商工業者に支払っている営業損害賠償を2016年度分までとし、その後は打ち切る方針を明らかにした。同日、福島市内で開かれた、福島県や県内の商工団体などでつくる県原子力損害対策協議会(会長・内堀雅雄知事)の会合で示した。
方針は与党の東日本大震災復興加速化プロジェクトチームが5月にまとめた第5次提言を踏まえた措置。事故による移転や転業などで失われる、16年度までの収益を一括して支払う。事業資産の廃棄に必要な費用なども「必要かつ合理的な範囲」で賠償するとしている。 (共同)