2015年12月31日木曜日

31- 原発再稼働しなければ交付金を減額 国が自治体へ圧力

 安倍政権は、原発立地自治体への交付金の算定方法を、これまでの「停止中の原発については一律81%稼働と見なす」から、16年度以降は「福島事故前10年間の平均稼働率を適用する」に変えました(市町村に対しては下限や激変緩和措置あり)。
 
 東電柏崎刈羽原発は、2000年代の東電のトラブル隠しに起因する運転停止と中越沖地震2007年)による長期停止(大小3000個所以上の故障)重なったため平均稼働率が約48%と低く、みなし稼働率と比べて30ポイント以上落ち込みます。これは全原発中最大の下落率です。
 
 政府のこの新しい算定方式が合理的だという根拠は何もありません。
 元経産省官僚の古賀茂明氏は、再稼働に慎重な新潟県知事を狙い撃ちしたもので、異常なやり方だと語りました。
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原発再稼働しなければ交付金を減額 国が自治体へ圧力
しんぶん赤旗 2015年12月30日
 国が地方自治体に出す交付金をてこにした原発立地自治体への圧力が強まっています。安倍晋三政権は2016年度予算案の作成にあわせて電源立地地域対策交付金の算定方法を変更しました。再稼働しなければ交付金が大幅に減額される仕組みです。なかでも知事が再稼働に慎重姿勢をとっている新潟県の下落幅が最も大きくなることが、本紙の調べで分かりました。 (佐久間亮)
 
 同交付金は、発電所の立地自治体を支援する名目でつくられた制度です。11年に起きた東京電力福島第1原発事故で全国の原発が停止するなか、発電電力量に応じて払われる交付金の扱いが問題になってきました。
 これまで国は、停止中の原発について一律81%の“みなし稼働率”を適用し、発電電力量を試算してきました。16年度以降は、原子炉ごとに福島事故前10年間の平均稼働率を適用します。上限は68%で下限はありません。市町村に対しては下限や激変緩和措置があり、下限なしで一気に減額する道県と二重基準になっています。
 原発が再稼働した場合は、実際の発電電力量に基づいて交付金額を算定し直します。全国43基の原発のうち平均稼働率が68%を下回るのは18基。多くの原発は再稼働で交付金が増える可能性が高く、再稼働に向けた動きが強まる恐れがあります。
 
 新潟県の東電柏崎刈羽原発は、2000年代に東電のトラブル隠し中越沖地震によって運転停止が相次いだため、7基合計の平均稼働率が約48%と15年度までのみなし稼働率と比べ30ポイント以上落ち込みます。同県の担当課は「減額でいろいろ影響がでてくる」と語ります。
 安倍政権は、みなし稼働率の見直しで同交付金を15年度から43億円減額する一方、廃炉が決まった原発立地自治体向けの新たな補助金(エネルギー構造転換理解促進事業)として45億円を計上しました。再稼働に積極的な福井県の西川一誠知事などが政府に求めてきたものです。
 
慎重な新潟県 狙い撃ち
元経済産業省官僚の古賀茂明さんの話
 原発の交付金見直しは、経産省の官僚がいくつものパターンをシミュレーションしてつくったものでしょう。来年の知事選も念頭に、再稼働に慎重な新潟県を狙い撃ちしたものだと思います。
 再稼働に前向きな自治体には補助金で優遇するが、後ろ向きな自治体は他の予算を含め徹底的に冷遇するという脅しです。
 島尻安伊子沖縄担当相が、沖縄県知事の姿勢と沖縄振興予算を結びつける発言をして問題になりました。全く同質の問題です。
 これまでも野党の首長に対し、国が予算面で嫌がらせをすることはありました。しかし、そのために交付金の制度設計をいじるというのは聞いたことが無く、安倍政権の異常さを示しています。