原子力規制委は26日に問題発覚後に中断した審査を再開するかどうか判断を下します。2号機は原子炉建屋の直下を走る断層が将来動く可能性のある活断層かどうかが焦点になっており、仮に再稼働の前提となる審査が再開されても、長期化は避けられません。
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敦賀2号機、26日に審査再開の可否判断
産経新聞 2022/10/24
日本原子力発電が、再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)の審査資料を不適切に書き換えた問題を巡り、原子力規制委員会は26日、問題発覚後に中断した審査を再開するかどうか判断を下す。2号機は原子炉建屋の直下を走る断層が将来動く可能性のある活断層かどうかが焦点になっており、仮に再稼働の前提となる審査が再開されても、長期化は避けられない。(白岩賢太)
敦賀2号機では、建屋から約200メートル離れた場所に「浦底断層」と呼ばれる活断層があり、そこから枝分かれして2号機の直下を走る「D―1破砕帯」が存在する。この破砕帯が地震を引き起こす活断層と認められた場合、活断層の直上に原子炉を建てることを禁じた国のルールで2号機は廃炉となる。
日本原電は平成27年11月、再稼働に向けて2号機の審査を規制委に申請。審査では直下の破砕帯について、規制委の有識者会合が活断層と評価したのに対し、同社は断層の活動性を否定する資料を提出して規制委の見解に反論してきた。
書き換えがあったのは、敷地内のボーリング調査で判明した地質データ資料。断層が動いた可能性を示す「未固結」を「固結」と書き換えた部分が55カ所、逆に「固結」を「未固結」に書き換えた部分が25カ所あった。令和2年2月の審査会合で規制委が指摘して発覚した。
同社によると平成29年2月ごろ、担当社員と委託先の地質調査業者が、元資料の記載を別の調査結果に上書きした。元資料は断層岩を肉眼観察した結果を記録していたが、その後顕微鏡で薄片を精密検査し、現場の判断で評価を変更したという。同社は取材に対し「古い記録よりも最新のデータに上書きした方がよいと考えた結果であり、当社に有利になるよう恣意(しい)的に書き換えたものではない」と説明した。
規制委は一連の資料の信頼性に疑いが生じたとして、昨年8月に審査を中断し、10回にわたり日本原電への立ち入り調査を実施。同社は今年9月、資料作成の業務プロセスを見直し、作成に直接関与しない専門家が検証するなどの再発防止策を事務局の原子力規制庁に報告、おおむね了承された。
ただ、再稼働に向けた敦賀2号機の審査は開始から既に7年近くが経過しており、問題発覚で中断した審査が仮に再開されても、規制委の最終判断はさらに数年単位でずれ込む公算が大きい。
日本原電は、昭和41年に日本で最初の商業炉を稼働させた原発専業の会社。保有する原子炉4基のうち2基の廃炉が決まり、残る敦賀2号機と東海第二(茨城県東海村)に会社の存亡がかかるが、再稼働の審査に合格した東海第二は、周辺住民の避難計画に不備があるとして昨年3月、水戸地裁に運転差し止めを命じられた。東日本大震災以降は稼働ゼロが続いているが、電力5社から維持管理などの「基本料金」として年約1千億円を得て経営を維持している。