現在の原発運転期間の上限は「原則40年、最長60年」ですが、経産省は稼働を停止している間はこの期間から除外する方向で、電気事業法の改正か特例法の制定を想定し、早ければ来年の通常国会への提出を目指します。停止中は中性子照射による原子炉の劣化がほぼないからです。
これに対して山中伸介・規制委員長は「経年劣化した原発が安全であるという確認をする規制を行っていくというのが我々の姿勢なので、運転期間がどう定まろうが、我々はその規制が厳正に定められるようにこれからルール作りをしていかないといけない」と語りました。この限りではまともな対応です。
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(10月6日) 原発の運転年限が法律から削除される可能性も
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原発運転延長、法整備へ 「停止期間除外」検討 経産省
時事通信 2022/10/6
経済産業省が、電力の安定供給と脱炭素化推進のため、既存原発の運転期間延長に向けた法整備の検討に入ったことが6日、分かった。
現在の運転期間の上限は「原則40年、最長60年」だが、原子力規制委員会の安全審査などで稼働を停止している間は、この期間から除外する案が出ている。同省所管の電気事業法の改正か、特例法の制定を想定し、早ければ来年の通常国会への提出を目指す。
2011年の東京電力福島第1原発事故後に厳格化された新規制基準で再稼働を申請した原発27基のうち、実際に稼働にこぎ着けたのは10基にとどまり、残り17基は安全審査や安全対策工事の遅れなどで停止期間が長期化している。経産省は再稼働を果たしても残余の運転期間が短ければ、電力会社が安全対策のために費やす巨額投資の費用対効果が損なわれると判断。運転期間には、放射線による原子炉などの劣化がほぼない停止期間を算入せず、「60年超」運転につなげたい考えだ。
原発の運転期間最長60年規定を削除へ 原子力規制委員会「規制の仕組み必要」
TeNYテレビ新潟 2022/10/6
原発を巡る社会環境が大きく動いています。原子力規制委員会は10月5日、原発の運転期間を最長60年と定めた法律の規定を削除する見通しを示しました。
10月5日、原子力規制委員会の山中伸介委員長が開いた会見。原子炉などの規制に関する法律(原子炉等規制法)から原発の運転期間を定めた規定が削除される見通しであることを明らかにしました。
〈原子力規制委員会 山中伸介委員長〉:「運転期間については、利用政策側の法体系の中で位置づけるという資源エネルギー庁の方針を聞きましたので、その部分については、(原子炉等規制法から)抜け落ちることになろうかと思います」
現在、原子炉などの規制に関する法律(原子炉等規制法)によって国内の原発の運転期間は原則で40年、最長で60年と定められています。
柏崎刈羽原発では1号機が最も古く、1985年9月に運転を開始していて、37年が経過しています。
資源エネルギー庁は5日、原子力規制委員会に「運転期間に関して法的整備を進めたい」と説明。運転期間の上限については明言しませんでした。
これを受けて、規制委員会の山中委員長は“運転期間に関わらず、老朽化した原発の安全性を確認する仕組みが必要だ”と述べました。
〈原子力規制委員会 山中伸介委員長〉:「“経年化した原子力発電所が安全であるという確認をする規制”を行っていくというのが我々の姿勢でございますし、運転期間がどう定まろうが、我々はその規制が厳正に定められるようにこれからルール作りをしていかないといけない」