EMP弾というものがあって、それが上空で爆発すると地上の電子機器の機能が破壊され原発の運転が急停止するため、福島第1原発と同様な深刻な事故を引き起こすということです。米国は既に対策済みだということですが、韓国でまだ対策が行われていない可能性があると朝鮮日報が伝えました。
ひるがえって日本ではまだEMP弾は話題になっていませんが、対策はしてあるのでしょうか。北朝鮮がそんな攻撃をしてくるかどうかは別にして、原発を運転する以上この対策は必須であって怠ることは許されません。朝鮮日報の記事を紹介します。
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【独自】北の電磁パルス攻撃に備えた韓国の原発安全評価、韓水原が拒否していた
朝鮮日報日本語版 2022/10/11
文在寅(ムン・ジェイン)政権時代、北朝鮮のEMP(電磁パルス)攻撃に備えて国家情報院(国情院。韓国の情報機関)が要請した原発の安全評価を、韓国水力原子力(韓水原)が拒否していたことが分かった。文政権の脱原発政策を履行していた韓水原が、戦時の状況における原発安全対策について何も考えていなかったのではないかという指摘が出ている。
【図】EMP弾(電磁パルス弾)概念図 ↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/0fe528862695f635ec15905432e00f24099430b0/images/000
韓国の保守系与党「国民の力」に所属する崔炯斗(チェ・ヒョンドゥ)議員が10日に韓水原から入手した資料によると、韓水原は、国情院産業部が「EMP脆弱点分析評価基準」に基づいて2019年3月から韓国電力・韓国ガス公社など公企業を対象に行った「公共分野主要情報通信基盤システム対象EMP示範評価」に参加しなかった。
EMP攻撃とは、強力な電磁波を発生させて電子機器を無力するもの。原発にEMP攻撃が加えられた場合、制御装置が作動不能状態に陥って原子炉が爆発したり放射線が漏れたりしかねない。米電力研究所は2019年1月の報告書で「北朝鮮のEMP攻撃で電力網が破壊されたら、1年以内に米国人の90%が死亡しかねない」と警告した。米国は昨年6月、「北朝鮮のEMP脅威評価報告書」にて「北朝鮮は超強力EMP弾の開発を完了した」と発表した。
韓水原は、国情院の要請を拒否する際、「EMP攻撃を受けても韓国の原発の遮蔽効果は十分」という内容の委託研究報告書を根拠にした。韓水原は2014年8月から2018年12月にかけて「稼働原発のEMP影響分析および対策樹立」という研究課題を進めた。この研究の結果は2019年2月に、当時の文在寅政権が立ち上げた原子力安全委員会と韓国原子力統制技術院にのみ報告された。だが韓水原は、いかなる防護対策が樹立されているのか公開せよという国会の要請に対し、「EMP関連の研究報告書は秘密文書として管理している」として拒否している。
一方、韓国電力の傘下にある中部発電・西部発電などの火力発電所は、国情院から受け取ったEMP評価報告書を国会に提出した。専門家らは「北朝鮮の現代化されたEMP攻撃に対し韓国国内の原発は100%安全だという韓水原の結論を信用してもいいのか」と懸念している。IAEA(国際原子力機関)は「老朽原発であるほど高圧・振動・EMPに弱い可能性がある」とし、各国の原発に対する補修勧告を続けている。
崔議員は「韓国のエネルギー施設に対する北朝鮮のEMP攻撃が発生した場合、無防備な状態」だとし、「EMP攻撃に対する国家基幹施設の具体的な防護対策を至急整備すべき」と語った。産業部(省に相当)側は「国情院が樹立中の『EMP保護対策ガイドライン』が確定したら施設ごとの重要度とさらなる防護の必要性を総合検討し、エネルギー基盤施設について保護計画を整備する」とした。 パク・サンヒョン記者