2022年10月7日金曜日

今冬の「節電プログラム」、電力会社など250社超参戦へ

 今冬の電力節減に向けて政府はこれに取り組む電力会社などに補助金を出します。電力会社などはこの補助金を原資に、12月末までに「節電プログラム」への参加を表明した家庭へ2000円相当分、法人へ20万円相当分を支払います。

 今夏 節電プログラムを展開した企業数は40社ほどでしたが、今冬 この節電プログラムの実施予定する電力会社などが250社超あることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かりました。
 膨大な数になったのはいわゆる電力会社だけでなく、「小売電気事業者」に加えて、「小売り供給契約の締結の媒介、取り次ぎ、代理を行う事業者」「高圧一括受電事業者」も含まれるためです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【スクープ】今冬の「節電プログラム」、電力会社など250社超参戦へ
               土本匡孝 ダイヤモンド・オンライン 2022/10/6
 今冬の電力需給逼迫対策として、電力会社などが政府の補助金を原資に参加表明家庭へ2000円相当分、法人へ20万円相当分を支払う「節電プログラム」。同プログラムを実施する予定の電力会社などが250社超あることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。
                        (ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

● 今冬は政府の思惑通り 節電プログラム「バブル」
 今冬の電力需給逼迫対策として、効果が期待される一つが電力を使う家庭や法人における節電だ。「日本全体で電力使用量を減らして、この冬の電力危機を乗り切る」という発想であり、政府はこれに取り組む電力会社などに補助金を出す。
 電力会社などは補助金を原資に、12月末までに「節電プログラム」への参加を表明した家庭へ2000円相当分、法人へ20万円相当分を支払う。具体的な還元方法は、ポイント付与または電気代値引きとなる。ただし、電力会社などは政府の定めた補助金対象要件を満たす必要があり、参加企業数に注目が集まっていた。「日本全体で節電」となるのかどうかの第1ハードルだからだ。
 この節電プログラムの実施を今冬に予定する電力会社などが250社超あることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。
 今夏に節電プログラムを展開した企業数は40社ほどだったとみられ、今冬は政府の思惑通り、大幅増の“節電バブル”となるのが確実な情勢だ。
 「補助金が右(政府)から左(電力使用者)に流れるだけで、手間ばかり増える」(ある新電力関係者)などと考えて、ぎりぎりまで参加を逡巡する企業が多かったが、申請期限の9月30日間際になって相当数の駆け込み申請があったようだ。

● 事業者向け説明会の案内メールに 「250社超の申請」との表記
 各社の節電プログラムに対し、政府が補助金を出して支援する対象は大きく分けて二つある。前述の「電力を使用する家庭・法人の節電プログラムへの参加表明」に対してと、「実際の節電量に応じたポイント付与・電気代値引き分」に対してだ。
 後者の詳細はこれまで明らかにされていなかったが、近日中に事業者向けの説明会が開かれる。この説明会の案内メールの文面に「250社超の申請があった」旨の表記があり、「この冬に節電プログラムを実施予定なのは250社超もあるのか」との驚きが、業界内に広がっている。
 では、どの電力会社が手を挙げたのか。
 資源エネルギー庁はホームページで、補助金適用が決まった大手電力会社や新電力を随時、公表している。
 10月4日時点では東京電力エナジーパートナー(東京電力ホールディングス完全子会社)、SBパワー、NTTドコモ、auエネルギー&ライフ、中部電力ミライズ(中部電力完全子会社)、東北電力、東急パワーサプライ、関西電力、ダイヤモンドパワー、大阪ガス、四国電力、九州電力、西部ガス、北陸電力など計38社だった。
 補助金適用までのフローとしては、企業からの申請後、条件を満たす節電プログラム内容であるかどうかなどを事務局が審査する。つまり申請から補助金適用が決まって公表されるまでにはタイムラグがあり、審査待ちか審査中の企業が210社以上あることになる。

 なお申請した250社超の全てが、いわゆる電力会社(旧来の大手電力と新電力)ではない。
 政府が補助金で支援する節電プログラム実施企業には、小売りをする電力会社を意味する「小売電気事業者」に加えて、「小売り供給契約の締結の媒介、取り次ぎ、代理を行う事業者」「高圧一括受電事業者」も含まれるためだ。
 とはいえ、今冬に前例のないほどの規模で国内展開される見込みとなった節電プログラム。最初のハードルであった「日本全体で節電して今冬の電力危機を乗り切る」土台は整ったとみていいだろう。
 焦点は、実際に節電プログラムに参加表明する電力使用家庭・法人の割合や、電力需給が逼迫して「いざ節電を」と要請する際の電力使用者側の節電実施割合に移ってきた。これらの割合を上げるためにどうするか、政府や電力会社の腕の見せどころだ。