九州電力は、川内市の川内原発1、2号機について期限の40年を超えた運転の延長を、12日、原子力規制委に申請しました。それに対して17日、運転延長を検証する鹿児島県の分科会が開かれ、九電の申請について委員から「分科会で議論が進む中での申請で違和感があった」などと不満が出されました。
また委員からは九電に対し、運転延長に向けた特別点検の詳細なデータを公表するよう求める意見が相次ぎました。
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【川内原発】鹿児島県専門委の分科会が延長申請後初の会合 一部委員から不満も 鹿児島
鹿児島ニュースKTS 2022/10/17
九州電力は、鹿児島県薩摩川内市の川内原発1、2号機について期限の40年を超えた運転の延長を、12日、原子力規制委員会に申請しました。その申請後初となる、運転延長を検証する鹿児島県の分科会が17日開かれ、九州電力の申請について一部の委員が「分科会で議論が進む中での申請で違和感があった」と不満を述べる場面がありました。
星槎(せいさ)大学非常勤講師 後藤政志 委員
「今、技術的評価をしている分科会で審議が進んでいる途中で(申請を)出すというのは、私はいかがなものかと思う。非常に違和感があった。このやり方ではものすごく信用を失うと思う」
九州電力担当者
「しっかり情報公開しながら、データを示しながら説明させていただく」
川内原発は1号機が2024年、2号機が2025年に運転開始から40年の運転期限を迎えます。
原発の運転期間は原則40年間と定められていますが、原子力規制委員会が認めた場合、1回に限り最長20年運転を延長することができます。
九州電力は運転延長に必要な手続きの「特別点検」を実施した結果、「異常は認められなかった」として10月12日、原子力規制委員会に20年の運転延長を申請しています。
申請後、初めての開催となった鹿児島県原子力専門委員会の分科会は、運転の延長に関して集中的に検証するために県が設置したもので、専門家7人で構成されています。
分科会ではこれまで特別点検の一部の結果が示され、検証が進められてきましたが17日はこれまでに示されていなかった1、2号機の特別点検のすべての結果が説明されました。
委員からは九州電力に対し、詳細なデータを公表するよう求める意見が相次ぎました。
九州大学応用力学研究所 准教授 渡邉英雄 委員
「企業秘密と書いてあるが分科会の委員だけではなく公表してほしい。もっと風通しの良い議論にしてもらえないか」
星槎(せいさ)大学非常勤講師 後藤政志 委員
「委員にはデータなどが示されているが、一般公開していない部分がある。県民からみると伏せられている部分がある。九電が説明できないのだったら、分科会も安全性を説明できない。それをふまえて考えてほしい」
九州電力担当者
「一般市民の中にはメーカーなどの競合他社がいてデータの扱いは非常に難しい。データを整理して『ここはこういう理由だ』と具体的に説明し、議論させてもらいたい」
分科会では、原子力規制委員会の運転延長に関する判断より前に検証結果をまとめ、塩田知事に報告する予定です。
京都大学特任講師 釜江克宏 座長
「非公開の部分は県民に直接的に説明できないことは当然あるが、分科会の委員を信頼してもらい、ご理解いただくしかない」
これまでの経緯を簡単にまとめますと2021年10月、九電は運転延長に必要な特別点検について1号機で開始しました。
その後、運転延長を検証する県の分科会の初会合が2022年1月に始まります。
一方、九電は2022年2月に2号機の特別点検を開始させます。
その後、分科会では3月には実際に特別点検を視察し、会合を重ね、この会合の中では九電側と特別点検の結果などをめぐっても議論を進めてきました。
そんな中、12日に九電が運転延長を申請し17日の分科会で一部の委員から不満が述べられたということになります。
今後、分科会では原子力規制委の判断の前に検証結果をまとめるということですが原子力規制の判断がいつになるかは未定です。