福島県小児科医会は25日、子どもを対象に実施している甲状腺検査事業について、見直しを含めた在り方の再検討を県に要望しました。
福島県の県民健康調査検討委員会が行う検査結果の報告も、ひたすら放射能の影響を第一に否定するという不可解なものですが、今度の小児科医会の「放射線の影響は考えにくいものの検査で多くの子どもが甲状腺がん、または疑いとされ、県民に不安を与えている」から、検査規模の見直しや県民の不安解消に向けた説明などを求めるという要求も、非常に分かりづらいものです。
先ずは福島の子どもたちの健康を守るための検査をなぜ縮小しなければならないのでしょうか。検討委員会と同様放射線の影響を否定する態度と言い、事態を隠蔽するというのが趣旨ではないのかと疑われます。
福島民報とブログ:「Everyone says I love you!」の批判の記事を紹介します。
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甲状腺検査の在り方検討要望 県小児科医会
福島民報 2016年8月26日
(福島)県小児科医会は25日、東京電力福島第一原発事故後に子どもを対象に実施している甲状腺検査事業について、見直しを含めた在り方の再検討を県に要望した。県側は「さまざまな意見を踏まえ、県民健康調査検討委員会の専門部会で最善の方法を見いだしたい」と答えた。
同会は放射線の影響は考えにくいものの検査で多くの子どもが甲状腺がん、または疑いとされ、県民に不安を与えていると指摘。検査規模の見直しや県民の不安解消に向けたより分かりやすい説明などを求めた。
太神和広会長らが県庁で「『放射線の影響はない』などの踏み込んだ説明が必要」「検査を受けない選択も認めるべき」などと考えを示した。井出孝利県保健福祉部長は「課題を踏まえ、より良い検査にしたい」と述べた。
福島県小児科医会が甲状腺がん検査の規模縮小含め見直し要望
「がんが見つかって県民に不安」の本末転倒
Everyone says I love you ! 2016年08月26日
東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べるため、福島県が県内の全ての子どもを対象に実施している甲状腺検査を巡り、県小児科医会(太神和広会長)が2016年8月25日、検査規模の縮小を含め、検査の在り方を再検討するよう県に要望しました。
小児科医会は、これまでの検査で多数の甲状腺がんが発見されたことにより、検査やその後の治療の進め方を巡り、放射線の影響は考えにくいものの検査で多くの子どもが甲状腺がん、または疑いとされ、検査を受けた子どもや保護者、一般の県民にも健康への不安が生じていると指摘しました。
しかし、そもそも、放射線の影響があるかないかを調べるのはこの検査の大きな目的なのですから、最初から放射線の影響が小さいがんが見つかっていると決めつけるのがおかしいのです。
そのうえで同会は、甲状腺検査規模の見直しや県民の不安解消に向けたより分かりやすい説明などを求めたのですが、その中身は
「『放射線の影響はない』などの踏み込んだ説明が必要」
「検査を受けない選択も認めるべき」
などというもので、検査の規模を福島県の子ども全体から縮小させるというアイデアもそうですが、完全に甲状腺がん隠しとしかいいようがありません。
さらに、同会の太神会長は、検査規模を縮小しても放射線被ばくによる影響の有無などを把握することは可能との認識を示しましたが、この検査の目的は被ばくの影響の有無の調査だけではなく、福島の子どもたちの健康を守ることにもあるのですから、規模を小さくして良いなどということにはなりません。
現に甲状腺の患者などでつくる会の方は、
「私たちの家族は、県民健康調査によって、甲状腺がんを早期に見つけ、早期に治療することができました」
と、むしろ検査の拡大を求めています。
福島県の子どもたちの健康を預かる小児科医の会がこんな本末転倒なことでは困りますね。あくまで患者本位という、医者としての原理原則に立ち戻るべきです。
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