福島原発の廃炉技術開発を進める国際廃炉研究開発機構(IRID)は、溶け落ちた核燃料(デブリ)の1~3号機ごとの推定分布量を初めて公表し、1~3号機共、炉心部にはほとんどデブリなどが残っていないと評価しました。一時、2号機については大半が原子炉内に残っているという観測も流れましたが、それは否定されました。
IRIDは、炉内の状況をより確実に把握するするためには、調査ロボットを内部に入れて確認したいとしています。
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炉心部に溶融燃料なし 廃炉研究機構が推定、第1原発1~3号機
福島民友 2016年08月15日
東京電力福島第1原発の廃炉に向けた技術開発を進める国際廃炉研究開発機構(IRID)は14日までに、溶け落ちた核燃料(デブリ)の1~3号機ごとの推定分布量を初めて公表した。原子炉内の推定が最も難しい2号機は、1、3両号機と同様に炉心部にほとんどデブリなどが残っていないと評価した。分布量は昨年度の研究結果をまとめたもので、IRIDは今後、素粒子の一つ「ミュー粒子」を活用して3~7月に実施された2号機原子炉の透視調査の結果を生かし、人が入ることのできない炉内のさらに詳しい分析を進める。
解析に当たりIRIDは、圧力容器下部の構造物に付着したデブリの量を評価する新たな解析手法や、管内をデブリが流れ落ちる模擬実験の結果などを解析システムに反映させ、精度を高めた。2号機は事故当時の注水量が分からないため解析結果の不確定性が最も大きく、過去の解析では炉心部にデブリの65%が残っているとされていた。
一方、IRIDや東電などが行ったミュー粒子による2号機の調査では、圧力容器の底に約160トンのデブリがたまっていると推定したのに対し、今回の解析結果は42トンと数値にずれが確認された。またミュー粒子での測定では、2号機の炉心の外周部に何らかの物質がドーナツ状に残っていることが推定された。その物質が核燃料か構造物なのかは判明していない。
IRIDは福島民友新聞社の取材に対し、炉内の状況把握を「より確実なものとするため、調査ロボットを内部に入れ、さまざまな角度からデブリを確認したい」とした。内部情報の収集に向けては、カメラやデブリを検知する装置を搭載したロボットの開発、建屋内の除染などが鍵を握る。
デブリ分布量についてIRIDは、複数の解析システムの結果などを踏まえて推定した。分布量は、事故当時の注水実績や水位など条件の設定によって変動するが、その中でも、現時点で最も正確性の高い値を推定値として示した。