北電泊原発の敷地内にある「F-1」(長さ約360メートル)断層が動いた時期は断定できないので、「より専門的に分析するべきだ」ととる研究結果を東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)がまとめました。
「F-1」断層については専門家の間でも見解が分かれています。
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泊原発「活断層の可能性」 東洋大渡辺教授指摘
北電は否定 適合審査に影響も
北海道新聞 2016年8月14日
北海道電力泊原発(後志管内泊村)の敷地内にある断層が、地盤をずらす活断層の可能性があるとする研究結果を東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)がまとめた。北電は従来通り、この断層は活断層ではないと主張しているが、泊原発が新規制基準に適合するかを審査している原子力規制委員会の今後の議論に影響を与える可能性もある。
規制委は新規制基準で、12万~13万年前以降の活動が否定できない断層を活断層としている。
北電は泊原発の敷地内に11本の断層を確認している。渡辺教授はその11本のうち、泊1号機の西側に位置する「F―1」(長さ約360メートル)に着目。約533万年以上前の地層では大きなずれが確認できるのに対し、これより新しい地層では、ずれが不明確になり、ずれの有無も確認できない地層もあることから、断層が動いた時期は断定できないとする。そのため「より専門的に分析するべきだ」と主張している。
これに対し北電は、原発建設前に行った開削調査などで11本の断層は活断層でないことを確認しているとして、渡辺教授の見解を否定。さらに、F―1の上にある約30万年前の地層は、ずれたり曲がったりした痕跡がないため、F―1は少なくとも約30万年前以降は活動していないとする。広島大大学院の奥村晃史教授(地震地質学)は「北電の資料からF―1が活断層でないのは明らか」とする。
このほか、F―1の活動時期の判別につながる「岩内層」と呼ばれる地層の一部は約120万年前にできたとする北電の主張に対し、北大の小野有五名誉教授(自然地理学)が「周辺の地形などから、岩内層は33万~35万年前のものである可能性が高い」とし、より詳細な調査を規制委に求めるなど、F―1については専門家の間でも見解が分かれている。