美浜3号機の運転延長は、原子炉や原子炉格納容器が強度が持つのかという根本問題がクリアにされない中で認められました。なぜ全てのデータを明らかにして識者の判断に委ねようとしないのでしょうか。
美浜原発は若狭湾に突き出した半島のほぼ先端部にあり、隣にはもんじゅ、さらにその先には原電敦賀原発が、全体で10キロに満たない(ほぼ)直線上に並んでいます。従って美浜原発が地震に見舞われたときには他の原発も同時に見舞われる可能性は大きいのですが、中日新聞が調べたところによると、それらの原発が同時被災したケースに(於ける対応に)ついては検討していないということです。
これは労を惜しむということではなく、事態が紛糾するようなことはできるだけ避けたいという逃げの姿勢によるもので看過できません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
稼働40年、美浜3号機「適合」 近隣同時被災を検討されず
中日新聞 2016年8月4日
原子力規制委員会は三日、十一月末に運転開始から四十年となる関西電力美浜原発3号機(福井県)について、耐震補強や火災対策などを進めれば新規制基準に適合すると判断した。ただし、最低限の基準をクリアしたにすぎず、同じ半島先端部には、事業者の異なる原発三つが集中立地する。その特異なリスクは十分検討されなかった。
老朽原発の適合判断は、関電高浜原発1、2号機(同県)に続き三基目。十一月末までに老朽対策も含めた審査を終えないと、廃炉となるため、規制委は期限を強く意識しながら審査を進めてきた。
立地する敦賀半島周辺には多くの活断層があり、審査の過程で、想定する地震動は七五〇ガルから九九三ガルに引き上げられた。関電は原子炉内の部品を取り換え、外海に面した敷地には約十メートルの津波に耐えられるよう防潮堤を新設。今後、千キロに及ぶケーブルを防火シートで覆うなどして難燃化を進め、内海側の敷地も防潮堤で囲う。四年近い年月と千六百五十億円をかける対策を進めることで、適合判断にこぎつけた。
一方、規制委の前委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授から、現在の評価手法では、少なくとも関電大飯原発(同県)は地震動が過小評価されている可能性が高いと指摘があった。しかし規制委は「別の手法に変えるだけの根拠がない」などとして、見直しの議論を打ち切った。
新基準を満たせば、支援がなくても既存の要員と資材だけで事故拡大は防げるとされる。だが、美浜3号機がある敦賀半島の先端部には、相次ぐ点検漏れ問題を引き起こした日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」や、直下の活断層問題を抱える日本原子力発電敦賀原発2号機があり、三原発は十キロ圏にある。同時被災し、互いに悪影響を与え事故収束を困難にする恐れもあるが、審査は単体での評価にとどまった。