原子力規制委の田中俊一委員長は3日の定例記者会見で、食品の放射能基準値が放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下などと規制されていることについて、「私の知る限りでは科学的根拠があるとは思えない」と述べました。
彼の言う意味は基準値の100ベクレルが低すぎるということなのですが、これは「国際的な指標を踏まえ、食品からの被ばく線量上限を年1ミリシーベルトにした場合の値」ということで定められたものです。そしてこの値は「内部被ばく」の恐ろしさに対応していないと、かねてから高すぎることが批判されてきたものです。
田中氏はいまウクライナやベラルーシで、特に児童のなかに深刻な健康被害が出ていることを、一体どう見ているのでしょうか。
彼はかつて自主避難者たちのことを「勝手に避難してきた人たちなので、国は支援する必要はない」とも放言しました。「私のような人たちから見ると日本は変な国だ(田中氏)」ではなく「田中氏(こそ)は変な人だ」と呼ばれるべきであって、こういう人間が枢要であるべき規制委のトップにいるというのは恐ろしいことです。
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食品放射能基準「根拠ない」田中委員長が批判 規制委
時事通信 2016年8月3日
原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の定例記者会見で、食品の放射性物質濃度基準値が放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下などと規制されていることについて、「私の知る限りでは科学的根拠があるとは思えない」と述べた。
食品や飲料水の基準値は東京電力福島第1原発事故を受け、2012年4月に厳格化された。それまでは野菜や穀類、肉などは同500ベクレル以下などとされていた。
田中委員長は「あの基準になったことで、風評被害や出荷制限で大変な思いをしている」と述べ、福島県の農業生産者らの苦労を強調した。
チェルノブイリ原発事故後の欧州の食品基準にも言及し、「コントロールできるようになったから(基準値を)低くしている。そういうのが本来の姿だ」と指摘。「私のような人たちから見ると日本は変な国だ」と批判した。
厚生労働省は現行基準について「国際的な指標を踏まえ、食品からの被ばく線量上限を年1ミリシーベルトにした場合の値。長期的な健康への影響も含めて判断している」と説明。食品安全委員会事務局も「専門家が科学的見地から取りまとめた」としている。