フランスの原発で強度不足の可能性がある鋼材が使われていることが分かったため、原子力規制委は24日、国内の原発で同じ鋼材が使われていないか調べるよう、各電力会社に指示することを決めました。原子炉圧力容器の上部鏡板部がひび割れしていたことから明らかになりました。
問題の鋼材を使い、原発の部品を製造しているメーカーはフランスと日本の2社で、国内では加圧水型の原子炉圧力容器や蒸気発生器のほか、沸騰水型の原子炉圧力容器にも使われている可能性があるということです。
原子炉圧力容器等はプレス加工+溶接で製缶するものではなく、溶接による材料の劣化を防止するために、例えば直径、高さいずれも4m余の600トン余の鋼塊(インゴット)から鍛造(鍛錬)して成型します。このためそれを製造できるところはごく限られていて、日本製鋼所室蘭製鉄所がほぼ独占的に世界の原子炉缶体の80%※を作っています(残りはフランスのアレバ社(の子会社)と見られます)。
したがってフランスで発見された欠陥品が日本製鋼所製である可能性もありますが、報道からは明確でありません。
この圧力容器は文字通り原発の心臓部に当たるものなので、隠ぺいなどはしないで事実を正確に報告して欲しいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原子力規制委 強度不足の鋼材 原発調査を指示
毎日新聞 2016年8月25日
フランスの原発で強度不足の可能性がある鋼材が使われていることが分かったため、原子力規制委員会は24日、国内の原発で同じ鋼材が使われていないか調べるよう、各電力会社に指示することを決めた。10月末までに報告するよう求めている。
問題の鋼材を使い、原発の部品を製造しているメーカーはフランスと日本の2社。通常より炭素の含有量が多いため、もろい可能性があるという。規制委によると、国内では加圧水型の重要機器である原子炉容器や蒸気発生器のほか、沸騰水型でも圧力容器に使われている可能性がある。
フランスで建設中のフラマンビル原発3号機で、原子炉容器の上ぶたにこの鋼材を使っていたことが発覚。仏原子力安全機関によると、営業中の58基のうち、18基の蒸気発生器でこの鋼材が使われているという。【柳楽未来】