高速増殖炉「もんじゅ」は、維持管理上の不備が繰り返し指摘されたのに全く改善されなかったため、3年前に規制委員会から、事実上運転を禁じる命令を受けました。
原子力機構は18日、これまでの改善策で「法令違反の状態は改善された」として、規制委員会に命令を解除するよう求めました。
それによると、ことし4月までにすべての機器の点検を終え、6月までに機器の重要度に応じた点検方法などを見直したほか、ミスを減らすために点検システムのIT化も図るなどとしています。
しかし新年度に入ってからも、維持管理上問題になる不祥事が2、3立て続けに発覚したばかりで、規制委員会は解除する考えはないとしています。
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もんじゅ運転禁止解除求めるも 規制委は解除の考え無し
NHK NEWS WEB 2016年8月18日
安全管理上の問題が相次ぎ、事実上の運転を禁じる命令を受けた高速増殖炉「もんじゅ」について、日本原子力研究開発機構は「法令違反は改善された」として、原子力規制委員会に命令を解除するよう求めました。しかし規制委員会は解除する考えはないとしていて、運転再開の見通しは立たない状態です。
福井県にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」は、およそ1万件に上る点検漏れなどの問題が相次ぎ、3年前、規制委員会から、事実上運転を禁じる命令を受けました。これに対して原子力機構は18日、これまでの改善策で「法令違反の状態は改善された」として、規制委員会に命令を解除するよう求めました。
それによりますと、ことし4月までにすべての機器の点検を終え、6月までに機器の重要度に応じた点検方法などを見直したほか、ミスを減らすために点検システムのIT化も図るなどとしています。
これに対し、規制委員会は「今月に入っても保安規定違反が出てくるなど、改善しているとは思えない」と返答したということです。
「もんじゅ」をめぐっては去年11月、規制委員会が監督官庁の文部科学省に対し、原子力機構に代わる新たな運営主体を示すよう勧告していますが、新たな主体についての結論は出ていません。このため規制委員会は、命令を解除する考えはないとしていて、依然として運転再開の見通しは立っていません。
改善策「合格点取れた」
日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長は記者会見を開き、これまでの改善策について、「合格点が取れたと認識している」としたうえで、「新たな運営主体がどのような形態になろうとも、もんじゅの早期運転のため、保守管理のレベルを上げておく必要がある」と述べました。
その一方、改善策の中で電力会社やメーカーとの連携を強化してきたとしていることに関連して、電力会社やメーカーから、もんじゅが必要とされていると思うかという質問に対し、児玉理事長は「現時点では不明確だ。私自身、よくわからない」と述べました。
そのうえで、「核燃料サイクルを仕上げるためには、もんじゅが必要だというベクトルを合わせていくことが求められている」と述べ、国を挙げてもんじゅを推し進めていく必要性を強調しました。