2016年8月21日日曜日

帰還困難区域の除染に国費 事実上の東電救済策

 放射線量が高く立ち入りが制限されている福島県の「帰還困難区域」の除染について、政府国費を投入する方針を固めました。
 5年後の避難解除に向けて除染を進めるための苦肉の策ということになりますが、本来は東電が負担すべきものなので、事実上の東電の救済に当たります。
 これまでも賠償金を払わないなど、東電の我儘を国は全て許してきたので別に驚くことではありませんが、それにしても東電を甘やかす国の姿勢は理解の埒外です。
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帰還困難区域の除染に国費 事実上の東電救済策
東京新聞 2016年8月20日
 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域のうち、最も放射線量が高く、立ち入りが制限されている福島県の「帰還困難区域」の除染について、政府が国費を投入する方針を固めたことが政府関係者への取材で分かった。帰還困難区域では本格的な除染作業は行われておらず、方針が決まるのは初めて。政府は区域内に、五年後をめどに避難指示の解除を目指す「復興拠点」を設ける方針で、この拠点や関連するインフラの整備を公共事業として行うことで、通常の除染作業と同様、線量を下げる。
 
 洗浄や表土はぎ取りといった従来の除染は、東電が費用を負担する仕組み。国費の投入は「国が前面に出る姿勢のアピール」(政府関係者)で、帰還困難区域の除染がスムーズに進むとの期待がある一方、東電の事実上の救済に当たるため、反発も出そうだ。
 政府関係者によると、復興拠点の整備事業として、対象地域内の建物の解体・撤去や土壌の入れ替え、道路の基礎整備・舗装などを実施することで、除染と同様に大幅な線量低下が見込めるという。インフラ整備と一体化して行うことにより、除染が迅速化すると同時に、東電の負担軽減につながる。
 こうした除染費用の方針について、政府は近く与党の提言を受け、今月末にも正式決定する。拠点外の除染については、整備の進展に応じて今後、検討する。
 一方、既存の利用可能な設備やインフラなどの除染費用は、政府が従来通り、東電に請求する。
 
 政府は二〇一三年、東電が負担する除染費用を二・五兆円と試算したが、範囲の拡大や経費の高騰などで大幅に超過する見込みで、本年度当初予算までに二・九兆円が計上されている。帰還困難区域を含めると最終的には数兆円程度に増える可能性もあり、このうち、国費で負担する復興拠点の除染費用は見通しが立っていない。
 
<帰還困難区域> 東京電力福島第一原発事故による避難区域のうち、放射線量が年間50ミリシーベルトを超え、原則立ち入り制限がされている区域。第一原発のある大熊町、双葉町をはじめ、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村、南相馬市のそれぞれ一部が対象で、事故前の区域内人口は約2万4000人、面積は約337平方キロ。