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8.10
復興予算使えず線量計点検見送り 6市町村、無用な被ばくも (東京新聞)
東京電力福島第1原発事故で国から避難指示を受けた福島県の12市町村のうち半数の6市町村で、国の復興予算が利用可能なことを知らず、避難住民に配布や貸し出しをした電子線量計の点検調整を見送っていたことが10日、分かった。未調整の場合、誤差が大きく、住民が無用の被ばくを受ける恐れがある。復興庁は説明不足を認め、周知徹底を図る方針。
政府は7月末、2012年度の復興予算のうち35・2%が使われなかったと発表したばかりだが、地元自治体の担当者は「制度が複雑すぎて問い合わせ先も分からない。何のための復興予算なのか」と憤っている。
厚生労働省は9日、東京電力福島第一原発事故の直後に緊急作業にあたった作業員のうち、白内障予防のため実施が求められている目の検査データ389人分が、東電から報告されていないと発表した。
この影響で、作業員の長期的な健康管理に使う同省のデータベースへの入力が目の検査では12・9%に低迷しており、同省は同日、東電に文書で改善を指導した。
厚労省によると、緊急作業で累積50ミリ・シーベルト超の被曝ひばくをした作業員に対しては、おおむね年1回程度の目の検査が求められている。
対象者は788人(東電563人、協力会社225人)。
東電の理論 不安だらけ うまく建屋に流れる?詰まり起こる可能性も (東京新聞)
東京電力福島第一原発でくみ上げが始まった地下水の行き先は、近くの立て坑だ。既に大量の高濃度汚染水がたまり、くみ上げが本格化すれば三日分ほどの容量。東電は、立て坑に水を入れると、自然に2号機タービン建屋地下へと流れ込み、大量に入れられるというが、計画通りに進むか懸念もある。
東電は、立て坑と建屋地下にたまる汚染水の水位が同じレベルであることから、両者の水は自由に行き来できる状態とみている。
理論上は、立て坑に水を入れれば、水位のバランスが崩れ、再び均衡を取ろうとするので、建屋側に水が移動するはず。
立て坑と建屋は、配管を収めるトレンチ(地下トンネル)でつながっているが、トレンチと建屋の接続部がどんな状態なのか東電も把握できていない。
もし、想定より接続部での水の流れが悪くて水が建屋側に移動しない場合、立て坑の空き容量は三百五十トン。地下水のくみ上げ量は一日百トンを予定しているため、三日余りで満杯になる。
東電は代替のタンクを用意しておらず、くみ上げが止まれば、地下水位がさらに上昇。砕石層などにたまる汚染水と地下水が混ざって海に流れ出す危険性もある。
第一原発で汚染水くみ上げ開始 流出止める能力なく 福島民友ニュース)
東京電力福島第1原発の汚染水の海への流出を防ぐ狙いで9日に始まった汚染水のくみ上げ作業。この日稼働した井戸のほか、護岸沿いに約30本の管を打ち込むことで1日100トンのくみ上げ量を見込むが、政府が試算する1日300トンの汚染水の海洋流出を食い止める能力はない応急措置。依然として抜本的な対策が求められている。
地下汚染水の海洋流出を防ぐため、1、2号機の岸壁沿いの地中に「土の壁」の造成を始めた7月上旬から近くの井戸では水位が上昇。せき止め効果で逆に汚染水が土の壁を越え、海に流出する可能性について、専門家らからは壁の造成が進む間も指摘が挙がっていた。
東電も汚染水が土の壁を越える可能性を踏まえ、当初は土の壁付近に大規模な溝を掘って汚染水をくみ上げる案も浮上していたが「時間がかかりすぎる」(東電関係者)との理由で見送られた経緯がある。結果、井戸の掘削や管を地中に打ち込む手法が採用されたが、くみ上げ手法の選定をめぐり時間を要したことで、井戸の水位上昇を把握してから約1カ月後のくみ上げ開始という事態を招いた。汚染水をめぐる東電の対応は「常に後手後手に回っている」(県幹部)のが現状だ。
新たな井戸からトリチウム 汚染範囲拡大の可能性 (福島民友ニュース)
東京電力福島第1原発で地下汚染水が海に漏れた問題で、東電は9日、1号機タービン建屋東側に新たに掘った観測用井戸の地下水から放射性物質のトリチウムが1リットル当たり2万3千ベクレル検出されたと発表した。これまで高濃度の地下汚染水は1、2号機東側で検出されてきたが、汚染が広がっている可能性もある。
この井戸は7日に完成し、周囲に薬液で護岸などの地層を固める「土の壁」はない。海からの距離は約4メートル。8日に初めて地下水を採取した。
同じく土の壁が周囲にない2、3号機と3、4号機の各取水口付近にそれぞれ1カ所ずつ設けた井戸で、これまでに検出したトリチウムは1キロ当たり数百ベクレル。比較しても今回検出した2万3千ベクレルは「相当高い値」(東電)で、東電は監視を強化するとともに再測定を行う。
汚染水漏えい源の一つと指摘される電源ケーブル用地下道(トレンチ)からは数十メートル離れた位置にあり、東電は1、2号機東側の汚染との関連は現時点で不明としている。
8.09
東電、原発汚染水のくみ上げ開始 海洋流出対策 (共同通信)
東京電力は9日午後、福島第1原発で汚染水の海洋流出を防ぐため、地下水から高濃度の放射性物質が検出された1、2号機の海側で、地中の汚染水をくみ上げる作業を始めた。くみ上げた汚染水は2号機タービン建屋とつながる海水配管トレンチ(地下道)に移す。
政府は1日約300トンの汚染水が海に流出していると試算しており、海の手前でくみ上げることで汚染の拡大を抑える狙い。
汚染水のくみ上げは応急的な対応で、2号機取水口付近に直径2・5メートル、深さ2・5メートルの井戸を掘って水を集め、ポンプで吸い上げる。1分間に0・18トンをくみ上げることができるという。
菅元首相ら原発事故告訴不起訴へ 検察当局 (共同通信)
東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失傷害容疑などで告訴・告発された菅直人元首相に、検察当局が事故発生直後の対応について釈明を求めたことが9日、関係者への取材で分かった。検察当局は勝俣恒久元東電会長ら約40人への捜査をほぼ終えており、元首相の見解を踏まえ全員を不起訴処分とする方向で検討している。
福島県の住民らが告訴・告発し「巨大津波の可能性を認識していたのに必要な対策を怠って事故を招いた」と主張していた。検察当局は地震の研究者らにも聴取を重ね、「当時は津波の高さについての統一的な見解はなく、事故の予見可能性があったとは言えない」との見方を強めている。
護岸の土地固め一部終了=汚染水流出対策—福島第1 .(時事通信)
東京電力福島第1原発から放射能汚染水が海に流出している問題で、東電は9日、1号機と2号機の取水口間の護岸内側に薬剤を注入し土壌を固める工事が完了したと発表した。10月までに山側にも薬剤を入れて地下水汚染の原因とみられる場所を囲い込み、拡大を防止する計画。2〜4号機の護岸でも同様の工事を行う。
東電によると、1、2号機取水口の間の約90メートルにわたり、地表から深さ約1.8〜14メートルの範囲に水ガラスを注入し、土を固めた。
「消費者の理解困難」 相馬双葉漁協も試験操業見送り 福島民友ニュース)
東京電力福島第1原発の地下汚染水が海へ流出したことを受け、相馬双葉漁協は8日、相馬沖で9月1日に予定していた底引き網漁の試験操業再開を見送る方針を示した。国の試算で大量流出が濃厚となり「現状では消費者の理解が得られない」と判断した。昨年6月から海域や魚種を広げてきた試験操業は一時中断に追い込まれた。
相馬双葉漁協と、いわき地区の底引き網漁業関係者でつくる県機船底曳網漁業組合連合会は8日、福島市で開いた総会で先送りの方針を確認した。県漁連が28日にいわき市で開く組合長会議で正式に決める。
試験操業の再開時期は、国と東電が進める流出防止対策の実績や、県が9月上旬までにまとめる操業海域の放射線モニタリング結果を見て、9月中旬にも開く相馬双葉、いわき地区の両漁協の合同会議で決める。
本(福島)県沖・カサゴ、出荷停止指示 160ベクレルを検出 (福島民友ニュース)
政府は8日、原子力災害対策特別措置法に基づき、本(福島)県沖で漁獲したカサゴの出荷停止を県に指示した。本県沖の魚介類で出荷が制限されるのは42魚種目。県は同日、関係漁協などに政府の指示を伝えた。県による放射性物質検査で、広野沖2.5キロの海域で取ったカサゴから食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る1キロ当たり160ベクレルの放射性セシウムが検出されたための措置。
東京電力福島第1原発の地下汚染水が海に流出している問題との関連性について、県は昨年8月の検査でも、カサゴからの検出値が同92ベクレルだったことなどを根拠に、否定的な見解を示した。県によると、原発事故後は試験操業の対象魚種に含まれず、市場には流通していない。
8.08
年間平均は0.9ミリシーベルト 伊達・外部被ばく調査 ( 福島民友ニュース)
伊達市が昨年7月から今年6月までの1年間、全市民を対象に実施した小型線量計(ガラスバッジ)による外部被ばく線量調査結果(速報値)によると、年間線量の平均は0.9ミリシーベルトで、国が目標とする年間1ミリシーベルトを下回った。仁志田昇司市長が7日、市役所本庁舎で記者会見し、発表した。
市によると、全体の66.4%が年間1ミリシーベルトを下回り、33.5%が1ミリシーベルト以上5ミリシーベルト未満だった。異常値を除き年間20ミリシーベルトを超えた人はいなかった。
市は今後、調査結果を市民の年齢、職業、生活パターンなどと照らし合わせて詳細に分析、健康管理に役立てる方針。地域別の平均の最大値は旧特定避難勧奨地点の指定を受けた同市月舘町相葭地区の2.8ミリシーベルト、最小値は梁川地区の0.6ミリシーベルト。
「東電任せ 対応遅い」 汚染水300トン流出試算 漁業関係者 国に怒り (福島民報)
「東電任せで、対応が遅過ぎる」。東京電力福島第一原発から汚染水が1日300トン流出しているとの政府試算が明らかになった7日、漁業関係者らは国に対する怒りをあらわにした。経済産業省は、汚染水対策への国費投入を検討するなどようやく本腰を入れ始めた。だが、関連予算を盛り込むのは来年度の概算要求で、関係者からは「悠長すぎる」「とにかく一日も早い対策が必要」と国による早期対応を求める声が上がった。
遮水壁 両刃の剣 建屋から逆流の恐れ (東京新聞)
(8日付「福島原発 汚染水流出防止は東電以外の主導で」本文記事参照)
汚染水対策、官房長官「国として支援の必要」 (読売新聞)
(8日付「福島原発 汚染水流出防止は東電以外の主導で」本文記事参照)
8.07
汚染水流出 概算で1日300トンか (NHK)
(8日付「福島原発 汚染水流出防止は東電以外の主導で」本文記事参照)
福島第一原発沖の海底、約30か所で高濃度セシウム (TBS)
東京大学が福島第一原発から20キロ圏内の海底の土に含まれる放射性セシウムの濃度を計測した結果、30か所あまりで局所的な高い値が確認されました。
東京大学生産技術研究所のソーントン・ブレア特任准教授らは、福島、宮城、茨城沖で海底の土に含まれるセシウム137の分布状況をおよそ400キロにわたって計測しました。今年2月までに福島第一原発から20キロ圏内の海底の土を調べたところ、周辺の海域に比べて5倍以上という局所的な高い濃度が30か所あまりで計測されました。このうちの20数か所では海底の地形が崖になっていたり、くぼんでいたりする特徴がみられました。
研究所では「こうした地形の場所では海流が弱いため、細かい粒子がたまりやすく、分散しにくいのではないか」としていて、濃度の変化などを引き続き調べることにしています。
いわき沿岸の「シラス試験操業」延期 汚染水問題 (福島民友ニュース)
東京電力福島第1原発の地下汚染水が海に漏れ出した問題を受け、いわき地区機船船曳網連絡協議会は6日、いわき市で総会を開き、いわき沿岸部で9月開始を目指していたシラス漁の試験操業延期を決めた。目標時期を1カ月先送りして10月開始を模索する。シラスの放射性物質検査で問題は出ていないが「現状では消費者の理解が得られない」と判断した。同じく9月開始を目指すいわき沖の底引き網漁にも影響する可能性がある。相馬双葉漁協は、実績のある相双沖での試験操業については独自に判断するとしている。
総会では、漁業者から「今、あえてやるべきなのか」「汚染水問題が落ち着くまで待つべきでないか」などと試験操業延期を求める意見が相次ぎ、開始時期の延期を決めた。今後は試験操業検討委員会で、あらためて計画案を練り直す。今月下旬に開かれる県地域漁業復興協議会では、風評被害対策などについて話し合う見通し。
8.06
複数設置案など打開の動きじわり 最終処分場問題 (東京新聞)
県内で大量に保管されている指定廃棄物をどう処理するのか-。「入り口論」で滞ったままの最終処分場問題に、微妙な変化が出てきた。県庁で五日にあった会合後、環境省側は県内に複数の最終処分場を設置する案に理解を示した。市町側からは、地域振興策の明示を求める声が広がった。国と市町側が互いに相手の出方を探る動きが、活発化してきた印象だ。 (神田要一、石井紀代美)