2013年8月19日月曜日

原発事故から住民は確実に避難できるのか

 福井県敦賀市で開かれた原子力防災時の住民避難のあり方考える学習会で、「SPEEDI」情報の重要性が強調されました。福島原発では「SPEEDI」の情報が全く公表されなかったために福島県民は多大な被曝をしましたが、公表されなかった理由についてはいまだに納得できる説明がありません。

 またアメリカでは住民の避難計画が確立していなければ原発の稼動は認められませんが、日本では殆どの原発立地県で具体的な避難計画が立てられていない状況下で、再稼動申請の審査が行われています。
 泉田新潟県知事は、柏崎刈羽原発の避難予行訓練をしたところ僅か400人の参加で道路の大渋滞が生じたことを挙げて、適正な避難計画など立てようがないと述べています。これは日本の多くの原発でいえることの筈です。
 もしもこうした現実を無視して、いずれ新規制基準を満たせば再稼動が認められるということであれば、恐ろしいことです。

 以下に福井新聞の記事を紹介します。
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原発事故での住民避難で学習会 SPEEDIの有効活用を
福井新聞 2013年8月18日
 原子力防災と住民避難のあり方について考える学習会が18日、福井県敦賀市福祉総合センターで開かれた。日本科学者会議原子力問題研究委員会の児玉一八委員は、住民避難のポイントとして緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」を挙げ、「福島第一原発事故のとき国は公表しなかったが、避難住民に届けて初めて意味のある情報だ」と述べた。

 原発で過酷事故が起きた場合に住民がどこへ、どう逃げるかについて現在の計画と課題を知ってもらおうと、市民団体「3・11さよなら原発嶺南実行委員会」が開いた。市民約130人が参加した。
 児玉氏は「SPEEDIをきちんと使えば、避難の際に有用な情報を手にすることができる。しかし国の原子力災害対策指針では活用法は今後検討するとしており、問題だ」と指摘した。
 また原発事故の情報をいかに早く住民に知らせるかについて「オフサイトセンターから関係市町村を通じて住民に届けると、避難に間に合わなくなる。私は原発から直接サイレンをならせと主張している」と述べた。「行政側は『そんなことをするとパニックになる』と話すが、住民になかなか情報が来ないことこそがパニックだ」と主張した。
 学習会ではこのほか、敦賀市危機管理対策課の小川明課長が「敦賀市の原子力防災について」と題し講演した。