東京新聞が面白い考察記事を掲載しました。
同紙は2日付の記事で、「東電福島の汚染水は、これまでに確認された特徴から少なくとも5つに分類できるが、すべて事故発生当初に出来たもので、採取する場所によって濃度等の性状が異なるのは、地下水、雨水(、あるいは地下の海水)等の混入具合が異なるためである。それによって取るべき汚染水の漏出防止対策も違うことになる」、と述べています。
例によって東電はとうに承知していることかも知れませんが、何しろ一つひとつ対策に動き出さないことには何時までたっても解決しません。そういう点でメディアが記事にして報じることは大事なことです。
それとは別に東電は2日、2011年5月以降に汚染水に混じって流出したトリチウムの量が20兆~40兆ベクレルに上ることを、原子力規制委の作業部会に報告しました。
水分子状のトリチウムは皮膚から体内に取り込まれ発がん性があります。
その最大の特徴は、水から水が分離できないように、イオン交換樹脂(IE)、ウルトラフィルター(UF)、逆浸透膜(RO)等の超純水を作る最高の技術をもってしても、分離することが出来ないし勿論沈殿もしないという点です。
以下に東京新聞の3つの記事を紹介します。
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汚染水 少なくとも5種類 福島第一
東京新聞 2013年8月2日
一日、東京電力福島第一原発2、3号機の海側トレンチ(地下のトンネル)につながる立て坑(ピット)で、新たに大量の高濃度汚染水の存在が確認された。検出された放射性セシウムは、最大で一リットル当たり九億五〇〇〇万ベクレルと、放出が認められる濃度限度の五百万倍以上と極めて高い値だった。これまでに確認された汚染水の特徴をみていくと、少なくとも五つに分類できる。 (清水祐樹)
どの地点で採取された汚染水も、セシウム134と137の濃度比からして、事故発生当初にできたものであることは確実。
ただ、地点により、セシウム濃度はほとんど検出されないもの==図中<1>=から、建屋地下の汚染水の百倍程度もあるもの=<2>=まで大きなばらつきがある。塩分も百倍ほどの開きがある。
一日に確認された汚染水(七月三十一日に採取)では、2号機の立て坑=<4>=で最大九億五〇〇〇万ベクレルと、建屋地下にたまった汚染水の十倍ほどの濃さだ。立て坑の底付近は塩分も高いことから、基本的には事故当初に発生した汚染水がたまっているものの、かなりの量の地下水などが注ぎ込んだとみられる。
一方の3号機の立て坑の汚染水=<5>=は、セシウム濃度は最大三九〇〇万ベクレル。建屋地下の汚染水と同程度だが、ほかの地点より圧倒的に高いのが塩分。塩分が濃い発生当初の汚染水が残っているとも考えられるが、逆に塩分の薄い建屋地下の汚染水に海水が流入している可能性もある。
同じ2号機関連で、ともに浅いトレンチから採取した汚染水でも、二十メートルほどしか離れていない場所=<2>と<3>=なのに、セシウム濃度が百倍も違う事例もあった。
採取する場所によってこれだけ汚染水の様子が違うことは、元の汚染水は同じでも、地下水や海、雨などたまっている場所の状況が違うことを意味する。つまり、取るべき汚染水の漏出防止対策も違うことになる。
原子力規制委員会は汚染拡大の危険性が高いのは浅いトレンチ下の砕石層と指摘しているが、このほか建屋とトレンチの継ぎ目、トレンチ同士の継ぎ目、護岸などチェックすべき場所は多い。
<放射性セシウムの放出限度濃度> 放射性物質ごとに、海への放出が認められる濃度の上限値が定められている。セシウム134は1リットル当たり60ベクレル、137は90ベクレル。2号機の立て坑の汚染水の場合、セシウム134は同3億ベクレル、137は同6億5000万ベクレルが含まれている。上限値と比べると、それぞれ500万倍、約722万倍。いかに高濃度の汚染水かが分かる。
トリチウム数十兆ベクレル流出か 福島第1原発の汚染水
東京新聞 2013年8月2日
福島第1原発の汚染水が海に流出している問題で、東京電力は2日、2011年5月以降に汚染水に含まれて流出した放射性物質のトリチウムの量が20兆~40兆ベクレルに上るとの試算を明らかにした。原子力規制委員会で開かれた汚染水対策を検討する作業部会に報告した。
東電は、体内に蓄積しやすく健康影響が懸念される放射性ストロンチウムも流出総量を今後試算するとともに、原発周辺海域での魚介類への影響調査を始める。
汚染水、「土の壁」越え流出指摘 規制委、東電に対策の加速要求
東京新聞 2013年8月2日
原子力規制委員会の更田豊志委員は2日、東京電力福島第1原発の汚染水流出対策として岸壁沿いで工事を進めている「土の壁」に関し「地下水位の上がり方や海水のトリチウム濃度の変化から、すでに地下水が壁を乗り越え、海に流れ出ているとみるべきだ」と指摘し、東電に対策を急ぐよう求めた。規制委の汚染水対策を検討する作業部会で述べた。
東電によると、地中の浅い部分では薬液で土を固めることが難しく、土の壁は地中約1・8メートルより深い部分にしか設置されていない。付近の観測用井戸の水位が上昇しており、東電も壁を乗り越えて放射性物質を含んだ水が海に流出する可能性を認めていた。(共同)