2013年8月6日火曜日

柏崎刈羽原発の安全審査 柏崎市と刈羽村が了承へ

 柏崎市と刈羽村は、東電が柏崎刈羽原発の再稼動の安全審査申請することを了承する方針を決めました。
 新規工事となるフィルターベントについては、審査で新基準への適合が確認されることや、運用方法を自治体と十分に協議するなどの条件を付けたうえで設置を了解するとし6日、東電にそうした方針を伝えることにしています。
 
 それに対して泉田知事は、「県が了解するには設備のハード面だけでなく運用面も含めた安全性の確認が必要で、東電との協議が必要だ」として、東電の申請を了承していません。

 柏崎刈羽原発の問題点はフィルターベント・システムに留まるものではありませんが、原子炉から遠く離れた場所に設置されたフィルターベントまで排気配管を走らせる構造では、地震時に地面の不等沈下(中越沖地震では最大1.5m)や地面の割れが生じても配管が破損しないことが最低限の条件になります。万一排気配管が破損すれば、原子炉内の濃厚な放射性ガスは全量がそこから放出されます(フィルターを通る場合は約1万分の1になる)
 
 その点を含めて、装置の安全性について十分に納得できるものでなくてはならない、とする知事の要求は極めて正当なものです。

 以下にNHKニュースを紹介します。
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柏崎刈羽原発の安全審査 柏崎市と刈羽村了承へ
NHK NEWS WEB 2013年8月5日 

柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、東京電力が速やかに国に安全審査の申請をしたいとしていることについて、地元の柏崎市と刈羽村は了承する方針を決めました。
一方、新潟県の泉田知事は申請に反発していて、地元自治体の対応が分かれるなか、東京電力がどう判断するのか注目されます。

東京電力は、柏崎刈羽原発の6号機と7号機の運転再開に向け、原発の新たな規制基準に基づいてできるだけ速やかに国に安全審査を申請する方針です。
先月には、廣瀬社長が地元の柏崎市と刈羽村、それに新潟県を訪れ、方針を説明するとともに新しい基準に適合するよう工事を進めている「フィルターベント」と呼ばれる設備について了解を求めていました。
これについて柏崎市は、東京電力の安全審査の申請を了承する方針を決めました。
フィルターベントについては、審査で新基準への適合が確認されることや、審査の過程や結果を分かりやすく説明すること、それに運用方法を自治体などと十分に協議するという条件を付けたうえで設置を了解するとしています。
刈羽村も同様の対応をとるとしていて、柏崎市と刈羽村は6日、東京電力にこうした方針を伝えることにしています。

泉田知事「了解には運用面も含めた安全性の確認必要」
一方、新潟県の泉田知事は、設備について十分な説明が行われていないとして、安全審査への申請に反発していて、地元自治体の対応が分かれるなか、東京電力が申請の時期についてどう判断するのか注目されます。
泉田知事は5日、コメントを出し、「東京電力は安全協定を守り申請の前にフィルターベントについて地元自治体の了解を得るべきだ」としたうえで「県が了解するには設備のハード面だけでなく運用面も含めた安全性の確認が必要で、東京電力との協議が必要だ」としています。
さらに、原発の安全対策を審査する原子力規制委員会に対しては「自治体と東京電力との合意がないまま審査することは困難ではないか」と指摘しました。

東電「地元の意向を聞きたい」
柏崎刈羽原子力発電所の国への安全審査の申請を地元の柏崎市と刈羽村が了承する方針を決めたことについて東京電力は、「まずは地元を訪れて、地元の意向をしっかりと聞かせていただきたい」とコメントしています。
また、申請に反発している新潟県の泉田知事との再会談については、「引き続き説明をさせてもらえるようお願いしていきたい」としています。

東電と新潟県の対応が焦点
経営の立て直しを急ぐ東京電力が柏崎刈羽原発の運転再開に向けた安全審査の申請をできずにいるのは、地元・自治体の理解が得られていないからです。
新潟県の泉田知事は、東京電力に対し、安全審査の申請を行う前に新たに義務づけられたフィルターベントと呼ばれる設備について、安全協定に基づく「事前了解」という手続きを経て地元の了承を得るよう求めています。
これに対し東京電力は、安全審査の申請と事前了解の手続きを並行して進めたいという姿勢を崩さず、先月の両者の話し合いは物別れに終わりました。
今回、柏崎市と刈羽村が東京電力の安全審査の申請を了承する方針を決めたことで、東京電力への反発を強める新潟県との姿勢の違いが鮮明になりました。
東京電力がいつ安全審査の申請を出すのか、東京電力と新潟県の対応に焦点が絞られたと言えます。