福島原発の排水タンクから汚染水が外洋に流出している問題で、東電の相沢善吾副社長は24日、漏洩があったタンクと同型の約300基を交換することや汚染水監視組織の強化を検討していることを明らかにしました。
直径12m、高さ11m、容量1000㎥のタンクを300基作り直すか、あるいは全基を手直しすることになれば大変な出費=無駄遣いですが、漏水しないと保証できないタンクをそのまま使い続けて海洋を汚し続けることなど許される筈もありません。こうした決断も副社長がトップに座ったから出来たことで、従来のメンバーだけでは多分無理だったと思われます。
ところで毎日新聞によれば、事情を良く知る東電協力会社のリーダーは、「タンクは工期が短く、金もなるべくかけずに作ったもので、長期間耐えられる構造ではない」、「組み立て式のタンクでは猛暑によってもボルトやパッキンが劣化するので水漏れは驚くことではなく、現場の感覚では漏水は織り込み済み。東電の技術スタッフも心配はしていた」、と明かしたということです。
何とも驚くべきことで、そんなデタラメな仮設タンクを延々と作り続けてきたことはとても理解の出来ないこと、また理解することの出来ない無責任さです。
その場しのぎの繰り返しがこういう形に帰結したことに、東電やそれを容認してきた関係官庁には何の反省もないのでしょうか。
それにしても溶接構造のタンクにすればその点はマシであるにしても、今後もそのタンクを無数に作り続けることに対する見直しはしないのでしょうか。京都大学の小出裕章氏が当初主張したタンカー内に仮貯蔵するという方式は検討したのでしょうか。検討した結果採用できないことになったのであれば、どういう理由からでしょうか。
東電の無駄な出費も含めて、全ての後始末が最終的には国民に降りかかってくる以上、そうしたことに対する説明責任がある筈です。
そしていまこそ最も合理的な、中期的な対策を立案すべきときです。
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タンク300基交換検討 第一原発の汚染水漏れ 東電が耐久性高いタイプに
福島民報 2013年8月25日
東京電力福島第一原発の地上タンクから汚染水が外洋に流れ出ている可能性が高まった問題で、東電の相沢善吾副社長は24日、漏えいがあったタンクと同型の約300基を交換することや汚染水監視組織の強化を検討していることを明らかにした。汚染水漏れが相次ぐ、接ぎ目をボルトで締めるタンクを溶接タイプに切り替えることが想定される。同日、県庁に内堀雅雄副知事を訪ね、汚染水漏れの経緯などを説明した。
相沢副社長は内堀副知事との面会後、記者団の取材に対し、「(汚染水が漏れた同型の)タンクのリプレース(交換)計画を現在検討している」と述べた。
同原発には、これまで汚染水漏れが確認された、部材をボルトで接合するタイプのタンクが約300基ある。これらのタンク内の汚染水を別なタンクに移送した後、耐久性が高いとされる溶接タイプを新設することや、現在のタンクに漏えい防止措置を取ることなどが想定される。
実施時期について、相沢副社長は「いつとは言えないが、できるだけ早い時期に示したい」と述べた。
ボルトで接合するタイプは比較的短い工期で大容量のものを作ることができる。漏えいのあったタンクは一昨年9月に設置された。
内堀副知事は東電の相沢副社長と石崎芳行副社長(福島復興本社代表)に対し、早期の適切な対応を求め、申し入れ書を手渡した。
■監視態勢を強化
東電は、汚染水の漏えい発覚後、漏えいが確認されたタンク周辺の監視を1日2回から、3時間ごとの同8回態勢に変更した。
相沢副社長は、汚染水対策に当たる本店側の機能の強化に加え、「不具合を早期に発見できるように組織の人数を増やしたい」と監視態勢を充実させる考えを示した。
汚染水漏れ:「タンク、金かけず作った」協力会社会長証言
毎日新聞 2013年08月25日
地盤沈下が原因で移設されていたことが明らかになった東京電力福島第1原発の汚染水タンク。高濃度の放射性物質を含んだ汚染水約300トンの漏出は、この移設が原因なのか−−。廃炉作業に参加している東電協力会社(福島県いわき市)の会長(72)は毎日新聞の取材に「タンクは工期が短く、金もなるべくかけずに作った。長期間耐えられる構造ではない」と証言した。
同社は事故前から原発プラントの設計・保守などを東電から請け負い、同原発事故の復旧作業では汚染水を浄化して放射性物質を取り除く業務に携わっている。このため汚染水を貯留しているタンクを設置したゼネコンともやり取りがあり、内部事情に詳しい。
会長が東電幹部やゼネコン関係者から聞いた話では、今回水漏れを起こしたタンクは、設置工事の期間が短かった上、東電の財務事情から安上がりにすることが求められていた。タンクは組み立て式で、猛暑によってボルトや水漏れを防ぐパッキンの劣化が、通常より早まる可能性も指摘されていたという。
会長は「野ざらしで太陽光線が当たり、中の汚染水の温度は気温より高いはず。構造を考えれば水漏れは驚くことではなく、現場の感覚では織り込み済みの事態だ。現場の東電の技術スタッフも心配はしていた」と明かす。
現在、タンク内にあるのは原子炉を冷却した汚染水から放射性セシウムを除去した汚染水。今回のような事態が続くと住民感情が悪化しかねない。会長は「そうなれば廃炉作業への影響も出る。政府が前面に出た上で、早く敷地内への地下水の流入を防ぐ抜本的対策を講じるべきだ」と強調した。【袴田貴行】