2013年8月28日水曜日

中・韓両国も海洋汚染に注目

 福島原発からの海洋への放射能流出には、当然ながら中・韓両国も注目しています。
 
 中国人民日報は26日、放射能汚染物質の中国管轄海域への影響はひとまずないとする国家海洋局のコメントを伝えました。しかし「今後西太平洋の公海で継続的観測を続け、最新の影響を把握して、中国の海洋における正当な権利を守る方針である」とも述べました。公海での汚染が確認されれば損害賠償を請求するという意志を表明したものと思われます。

 韓国の聨合ニュースは28日、福島原発の汚染水が韓国まで流れてくるには5年程度がかかり、その間に放射能は希釈され韓国への影響はほぼないとする国立水産科学院予測を報じる一方で、万一の事態に備え、海流の変動などを持続的にモニタリングする計画であると述べました。やはり自国領海内での汚染が確認されれば損害賠償問題に発展するものと思われます。

 安倍政権は今度こそ政府の責任で汚染水問題を解決する覚悟を固めるべきです。

 以下に中・韓両国メディアの記事を紹介します。
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日本の放射能汚染物質は中国海域にひとまず影響なし
(中国)人民網日本語版 2013年8月26日
 国家海洋局がこのほど伝えたところによると、さきの東日本大震災を受けて日本の福島第一原子力発電所で事故が発生して以来、同局は3年にわたり太平洋の公海で追跡調査を続けてきた。その結果、事故による放射能汚染物質の海への影響はその範囲が拡大しており、北緯20度付近で事故により放出されたセシウム(132Cs)が確認された。2013年の最新の観測結果によると、事故による放射能汚染物質の中国管轄海域への影響はひとまずないという。人民日報が伝えた。

 あるメディアの報道によれば、事故発生後、放射性物質を含む汚染水が海に流れ続けている。同局はこの点を非常に重視し、大量の観測活動を行ってきた。最新の観測結果によると、現時点では放射能汚染物質による中国管轄海域への直接の影響はまだ確認されていない。同局は今後、事故の最新の進展状況に十分注意し、西太平洋の公海で継続的観測を続け、最新の影響を把握して、中国の海洋における正当な権利を守る方針。必要であれば、国際社会は福島付近の海域で合同観測を行い、原発事故が西太平洋の公海に与えた影響の範囲と程度を全面的に把握することを求める権利をもつという。(編集KS)

福島原発の汚染水 韓国に影響なし=国立研究機関
(韓国)聯合ニュース 2013年8月28日
【釜山聯合ニュース】韓国の国立水産科学院は27日、2011年から韓国近海の海水を採取・調査した結果、日本の放射能汚染水による影響はないと明らかにした。

 今回の調査は東京電力福島第1原発事故が韓国の漁場や水産生物に及ぼす影響を把握するため行われた。2011年から2カ月に1回ずつ韓国の東・西・南海と東シナ海の75カ所から海水を採取し、韓国原子力安全技術院が海水に含まれた放射能を測定した。
 放射性ヨウ素(1311)と放射性セシウム(134Cs)は検出されなかった。放射性セシウム(137Cs)は微量が検出されものの、基準値を下回る例年同様の水準で福島原発の汚染水漏れ問題は韓国に影響を与えていないという。

 国立水産科学院は福島原発の汚染水が韓国まで流れてくるには5年程度がかかり、その間に放射能は希釈され韓国への影響はほぼないと予測した。ただ、万一の事態に備え、海流の変動などを持続的にモニタリングする計画だ。

放射能海水の恐怖現実に…福島の汚染度、急上昇
(韓国)中央日報日本語版2013年08月26日
  日本の福島第1原発の放射能汚染水の流出で、原子力発電所周辺の海水の放射能濃度が急激に増加したことが明らかになった。 

  東京電力は23日「第1原発から約500メートル離れた港湾入口で19日に採取した海水の放射能汚染度を測定した結果、放射性トリチウム(三重水素)の濃度が1リットルあたり68ベクレルの値が出た」と明らかにした。ほかの4地点のトリチウム濃度も52~67ベクレルに達した。この数値は12日に測定した数値に比べ1週間で8~18倍に高まった。1~3号機周辺の地下水汚染のため監視が強化された6月以降最高の数値でもある。 

  トリチウムのほかにも体内に入れば骨に蓄積されて骨髄がん・白血病などを引き起こす半減期29年の放射性物質ストロンチウムも海水から大量検出された。 

  東京新聞は「今回300トン以上の放射能汚染水が流出したタンクの下流地点でセシウム(半減期30年)はほとんど検出されなかったが、ストロンチウムは1リットルあたり200~580ベクレルで非常に高かった」と指摘した。新聞は「港湾から測定された数値は結局、原子力発電所内のタンクからもれた放射能汚染水が、排水口を通ってそのまま海に流れ出たことを実証的に立証している」と分析した。 

  東京電力は「汚染水が流れ出たタンクは、東日本大地震の発生直後の2011年6月にほかの場所に設置されていたが、該当場所が地盤沈下を起こしたために解体して現在の位置に移されたもの」としながら「ほぼ同時期に移設した残りのタンク2カ所の汚染水をくみ出してほかのタンクに移す方針」と発表した。 

  一方、朝日新聞は「タンクの汚染水の流出よりもはるかに深刻なのは1~3号機周辺の汚染地下水が直接海に流れ出ているという点」と指摘した。 

  東京電力は汚染地下水の海への流出を防ぐために1~2号機の間の地面の下に地下遮断壁をつくったが、汚染水の水位が高まったために遮断壁の上を越えて海に流れている。これに対し東京電力は23日、汚染水の水位を下げるために真空ポンプを使用し、敷地内28カ所で一日最大70トンの地下汚染水を吸い上げ始めた。新聞は「東京電力は原子炉建物の坑道内にたまった超高濃度の汚染水が一日10リットルほど直接海で流出している可能性も認めている状況」と指摘した。 

◆韓国新薬処「ストロンチウムは検査除外」=食品医薬品安全処は昨年6月から日本産の輸入水産物について日本政府と同じ基準(1キログラムあたり放射性セシウム100ベクレル以内)を適用している。国内の放射性物質許容基準値はセシウム370ベクレル、ヨード300ベクレルだ。 

  新薬処によれば、福島原発事故以後の2011年3月から現在まで韓国内に入ってきた水産物の中で放射性セシウム・ヨードが検出された件は計131件、約3011トン程度だ。農産物・畜産物・加工食品などではまだ放射性物質が検出されたことはない。新薬処の関係者は「放射能検出量はすべて基準値以内なので安全だ」と説明した。だが現在、ストロンチウムのような放射性核種に対しては別の検査を行っていない。新薬処関係者は「ストロンチウムを検出するには最低6週間ほどかかり、水産物にこのような検査をすることは難しい」と話した。