8月18日のしんぶん赤旗日曜版の第1面に「汚染水対策もコスト優先/原発事故直後 消された提案/文書が語る真相」と題された記事が掲載されました。
それによると・・・
地下水汚染防止に詳しい鉱研工業の江口工氏(元社長)は、原発事故直後に官邸・東電から原発周りの地層図を見せられて、福島第1原発の地下は、地下水がスースー流れる地層になっているので、「汚染水の地下水への浸透・拡散を念頭においた対策が必要だ」と進言しました。
それで政府・東電統合対策室は、11年4~6月、陸側と海側に遮水壁を設けることを検討しましたが、11年6月に東電がまとめた文書には、「陸側遮水壁は設計次第では1000億円レベルになるが、東電は厳しい財務状況にあるので、陸側遮水壁の設置は是非回避したい」となっていました。
そして東電は11年10月にコスト優先の立場から「陸側遮水壁は設置すべきではない」と発表し、11年8月にやると発表した海側遮水壁も、実際に着工したのは翌12年4月でした。
・・・ということです。
このように当初から汚染水流出の危険性を知りながら、コスト優先で有効な対策を講じなかった東電と菅内閣、及びそれ以後の民主党政府・自民党政府の責任は重大です。
特に海洋汚染の恐ろしさについては、当時、ジャーナリストの上杉隆氏も、もしも汚染が明らかになれば関係国から何十兆円あるいはそれ以上の賠償を要求される可能性がある、と述べていました。
当時全ての関係委員会のトップを務め、自分は理系の出身で原子力には強いと自負していた筈の菅氏が、なぜその程度の判断が出来なかったのか不思議なことです。
また、15日付のブログ「フランスねこのNews Watching」に、ヴォイス・オブ・ロシア(8月7日)の記事「史上最悪の高濃度汚染水、今後30年以上太平洋へ/日本政府、節約のために対策を2年以上放置/米専門家が指摘」の抜粋翻訳が載りました。
ガンダーセン氏もきわめて厳しく日本の政府を批判しています。
同ブログの記事を併せて紹介します。(詳細は原文をご覧ください。URLは下記です)
隠蔽、誤魔化しや手抜きはいつかは明らかにされるものですが、それにしてもこの事態はあまりにも深刻です。
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「史上最悪の高濃度汚染水、今後30年以上太平洋へ」
「日本政府、節約のために対策を2年以上放置」 米専門家が指摘
ヴォイス・オブ・ロシア(8月7日)
フランスねこのNews Watching 2013年8月15日
2011年の原発事故により機能不全となった福島原発から高濃度の放射性汚染水が流出し続けている問題で、日本の経済産業省は8月7日、汚染水が当初の想定以上に早い速度で流出していることを認めた。こうした状況を受けて、ヴォイス・オブ・ロシア紙は同日、米国の民間原子力専門組織「ファイヤー・ウィンズ・アソシエーツ」の創立者で代表を務めるアーニー・ガンダーセン研究員に現在起きている危機的状況とその解決策についてインタビューを行った。
( VOR=ヴォイス・オブ・ロシア紙/エフゲニー・スホイ記者)
VOR:「放射性汚染水の漏出を制御することは可能なのでしょうか。」
ガンダーセン代表:「既に手遅れです。汚染水は過去2年間にわたり漏れ続けて来ました。そしてついに放射性汚染水は海に到達したのです。海から遠い場所は更に深刻な汚染に見舞われています。日本関係者は遮蔽壁を設けることを提案していますが、2年遅すぎます。そして壁ができる頃には汚染水が原発内に滞留し原子炉を不安定にする、という別の問題を引き起こすことになります。」
VOR:「そうならないように何とかならないでしょうか。」
ガンダーセン代表:「2年前、私はゼオライト製の堀で福島原発を囲うことを日本関係者に提案しました。ゼオライトというのはただの火山灰です。火山灰は放射性物質を非常によく吸収するのです。しかし日本関係者はその必要経費を出す気がありませんでした。彼らは私に「東京電力はそのための資金が無い」と言ったのです。でもそのために私たちは今、太平洋が汚染される、という非常に深刻な問題に直面しているのです。」
VOR:「海が汚染されないように何かできないでしょうか。」
ガンダーセン代表:「率直に言って、無理だと思います。少なくとも20年か30年の間放射性物質を海に放出し続けることになるでしょう。東電関係者らは原子炉の周りに溢れる汚染水を外へくみ出さなければなりません。しかしこの汚染水は、私がこれまで見た中で最も高濃度の放射性汚染水です。稼働中の原子炉の上を直接流れる汚染水に比べても更に1000倍汚染されています。
日本政府は国民に対して福島原発の汚染除去にかかる本当の額を伝えていません。私の試算では、福島原発の事故現場を整理するのに一千億ドル(約10兆円)、福島県全体ではこれに加えて更に四千億ドル(約40兆円)必要です。
もし日本の人々が原発が引き起こす被害の実情を知ったなら、再稼働を考え直すことでしょう。福島原発のような事故は他でも起きうるのです。日本は地球上で最も地震の多い地域です。そんな場所に原発を作るなんて、馬鹿げています。」 (抜粋、一部編集)