福島原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」の成立から1年以上が過ぎても国は支援の基本方針を策定していません。東電が碌な補償もしないなかで国がこれでは、15万人の被災者たちはどうすればよいのでしょうか。補償・支援をしたくないからとしか考えられませんが、それでは毎年数兆円ずつも予算を余らせているのは、どう説明するのでしょうか。
7月のはじめには、自民党が日本建設業連合会宛てに、4億7000万円の献金を要請したことも明らかにされました。そういう見返りのあるところだけに予算を回すということであれば、国と自民党が汚職をしていることにほかなりません。
放射性汚水を2年以上も海へ流し続けてきたことといい、福島原発事故に関して国と東電がやっていることは理解の埒外です。
放射能汚染地域に居住する人たちの被曝量の計算方法がデタラメであったことも明らかになりました。これも住民の健康にとって重大な問題です。そして、それでも国は誤った計算方法を改めようとしないという不誠実・不可解さも明らかとなりました。
福島県の住民や県外への自主避難者たちが近く、国に被災者支援法の早期策定を求めて東京地裁に提訴することが分かりました。
同法を所管する復興庁が、いまだに支援地域を線引きする根拠となる線量基準を定めていない不作為の責任が、司法の場で問われることになります。
司法の側も、独立性を保って国に迎合するする姿勢を即刻改めるべきです。
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被災者支援法:放置は違法 福島住民ら提訴へ
毎日新聞 2013年08月20日
東京電力福島第1原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」の成立から1年以上過ぎても国が支援の基本方針を策定しないのは違法だとして、福島県の住民や県外への自主避難者らが近く、国に早期策定を求めて東京地裁に提訴することが分かった。同法を所管する復興庁は、支援の対象地域を線引きする根拠となる線量基準を今も定めておらず、住民や自主避難者への支援は大きく遅れている。その不作為の責任が司法の場で問われることになった。
原告は、避難指示区域(年間累積線量20ミリシーベルト超)の外の福島市や郡山市などに暮らす住民や、県外への自主避難者のほか、線量が比較的高い栃木県那須塩原市や宮城県丸森町の住民ら計約20人。
同法の付則は、線量調査に基づき支援対象地域を毎年見直すよう規定している。このため原告側は「付則は1年以内に基本方針を作ることを前提としているのに、1年を超えても作られないのは違法だ」と訴えている。
また原告側は一般人の年間累積線量限度である1ミリシーベルトを基準とし、それを超える地域を支援対象にすべきだと主張。昨年6月の同法成立時の線量に基づき、原告全員が対象に当たるとしている。
だが、基準が決まらないため支援の対象地域も基本方針も定まらず、自主避難した原告への住宅・就労支援、対象地域に暮らす原告の被ばくに対応した健康診断などの支援がなされていないと批判している。
同法を巡っては、担当していた復興庁の当時の参事官が短文投稿サイトのツイッター上で暴言を繰り返していたことが発覚。3月8日には「懸案が一つ解決。白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」と、線量基準や基本方針などの検討先送りを示唆したとみられる書き込みをしていた。実際、復興庁は基準や基本方針を決める目標時期すら明らかにしていない。【日野行介、袴田貴行】
◇子ども・被災者生活支援法
東京電力福島第1原発事故に伴う年間累積放射線量が国の避難指示区域解除基準(20ミリシーベルト)を下回るが一定基準以上の地域を支援対象地域とし、住民や子どもに国が医療・生活支援や健康調査を行うことを定めた法律。各人の意思を尊重し、(1)対象地域に居住(2)対象地域外へ避難(3)他地域から対象地域内へ帰還−−のいずれの選択をした場合も支援するという理念が特徴。超党派の議員立法で昨年6月に成立した。