福島原発から高濃度の放射性物質が大量に海洋に流出している問題について、海外の各メディアは重大な関心を寄せています。
福島原発からは、セシウムは勿論、ストロンチウムやトリチウムなどの放射性物質が「桁外れの量」で、しかもいつ終わりになるという目処もないままに海洋に流され続けているのですから当然のことです。
しかも山側から降りてくる地下水の量が1000㎥/日 程度あることを、東電も政府も事故時から知っていたのにもかかわらず、それを公表したのはごく最近のことでした。
日経新聞は英紙ガーディアン、同フィナンシャル・タイムズ、米紙ニューヨーク・タイムズの社説などに見られる海外の重大な懸念を紹介していますが、日本語版で読めるロイター通信やウォール・ストリート・ジャーナルなどでも、この頃はときどき、東電福島のこれまでの経過から現在の問題点に至るまでを解説した、比較的長文の記事を載せています。
海外は勿論、東電が云々ではなくて、日本政府・安倍政権がどうしようとしているのかを注視しています。安倍首相は果たしてそうした海外からの注目に応えられる姿を示せているのでしょうか。国内では「再稼動」に向けて全開し、海外でも原発を売りまくろうとしている姿勢は、どのように映っているのでしょうか。
「せめて汚水の流出を止めてからにしてくれ」というのが、正直な思いなのではないでしょうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島原発の汚染水漏れ、欧米メディアも重大な関心
日経新聞 2013年8月26日
東京電力福島第1原子力発電所の汚染水漏れ問題を巡り、欧米メディアの報道が相次いでいる。原発事故の処理の難しさや放射能汚染、日本経済への影響など分析は多岐にわたる。海外の各国が福島原発と安倍晋三政権の対応に再び重大な関心を寄せている状況を映している。
英紙ガーディアンは社説で「福島原発のメルトダウンによる影はさらに長く、暗くなった」と指摘。事故後、世界中で原発の安全対策コストが跳ね上がる現状を踏まえ、英国でも政策転換が起きる可能性に言及した。
米紙ニューヨーク・タイムズも「事態は東京電力の手に負えないほど大きいかもしれないことが、いよいよ明確になった」と報道。
英紙フィナンシャル・タイムズは原発への市民の不安がデフレ脱却の障害になるとの見方を示した。同紙は「原発停止が長引けば安倍首相の経済政策、アベノミクスの基本的な前提のいくつかが崩れることになるだろう」と分析した。