2013年8月15日木曜日

菅元首相が刑事責任否定の意見書を提出

 東電福島原発の事故対応を巡って刑事告発されている菅元総理が14日、「当時の対応に過失はない」とする内容の意見書を東京地検に提出しました。東京地検が12日任意の事情聴取を要請したことに対して、それを拒否し、代わりに提出したものです。

 福島原発事故を巡っては、菅元総理など政府の責任者のほか、東京電力の旧経営陣や当時の原子力安全委員会の関係者らおよそ40人についても、福島県の住民などが津波対策を怠っていたなどとして告訴や告発を行っています。
 検察は、東日本大震災クラスの大津波を事前に予測できたのかという点を重視して、およそ1年にわたり捜査を続けてきましたが、東京電力などの「予測できなかった」とする主張を覆すだけの証拠は得られておらず、また被災者らの体調不良と放射能漏れとの因果関係が明確傷害に相当しない特定の個人に責任を負わせることは難しいなどの点から、刑事責任を問うのは難しいという見方が強まっているということです。

 15万人の人々がいまなお不自由な避難生活を続け(国や東電からは碌な救済もありません)、その一方で原発事故は収束するどころか、いまも国土と海を放射能で汚染し続けて 深刻の度合いを増しています。

 国会事故調などの結論も、「福島の原発事故は人災」という判断だったのではないでしょうか。それなのに長く歴史に刻まれるこの大惨事が、結局責任の所在を明らかにするもことないままに蓋を閉じられてしまうというのでは、とても納得することはできません。
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原発事故 菅氏が刑事責任否定の意見書
NHK NEWS WEB 2013年8月14日
東京電力福島第一原子力発電所の事故対応を巡って、業務上過失傷害などの疑いがあるとして刑事告発されている菅元総理大臣が14日、「当時の対応に過失はない」という刑事責任を否定する内容の意見書を、弁護士を通じて検察に提出しました。

福島第一原発では、東日本大震災翌日の午後3時すぎ、1号機の原子炉建屋で水素爆発が起こり、東京電力の作業員らが負傷したほか、事故対応の遅れなどから周辺住民が被ばくしたとされています。
この事故について、当時、政府の危機管理の最高責任者だった菅元総理大臣は業務上過失傷害などの疑いがあるとして検察に刑事告発されていて、告発では震災翌日の早朝に現地視察を強行したことが、原子炉格納容器の圧力を抜く「ベント」という作業の遅れにつながり、爆発を招いたなどと指摘されています。
この問題で、菅元総理大臣は検察から説明を求められていましたが、当時の対応やみずからの考えを意見書にまとめ、14日午後、弁護士を通じて東京地検に提出しました。

関係者によりますと、菅元総理大臣はこの中で、「ベントの了承は震災翌日の午前0時すぎに東京電力が準備を始めたのを受けて直ちに協議し、午前1時半には行った。爆発が起きる半日前の午前3時すぎにはベントは可能だったはずで、対応に過失はない。しかし、ベントは朝になっても実行されておらず、直接、現地に赴いて責任者にすぐに行うように約束させた。自分は作業を積極的に進めさせたのであり、遅れさせたという批判はあたらない」などと説明し、刑事責任を否定したということです。
検察は意見書の内容を検討した上で、刑事責任を問うべきかどうかについて、早ければ今月中にも最終判断するとみられます。

事故の刑事責任検察最終判断へ
福島第一原発の事故を巡っては、菅元総理大臣など政府の責任者のほか、東京電力の旧経営陣や当時の原子力安全委員会の関係者らおよそ40人についても、福島県の住民などが津波対策を怠っていたなどとして、業務上過失致死傷などの疑いで検察に告訴や告発を行っています。
検察は、東日本大震災クラスの大津波を事前に予測できたのかという点を重視して、およそ1年にわたり捜査を続け、▽東京電力の勝俣恒久前会長や▽原子力安全委員会の班目春樹元委員長らから任意で事情を聴いて、当時の認識などを確認してきました。
さらに、地震や津波の専門家にも幅広く意見を求めてきましたが、関係者によりますと、これまでの捜査では東京電力などの「予測できなかった」とする主張を覆すだけの証拠は得られておらず、刑事責任を問うのは難しいという見方が強まっているということです。
検察はこうした捜査の結果に加え、14日、菅元総理大臣側から提出された意見書の内容なども踏まえ、事前の津波対策や震災後の対応を巡って告訴・告発されている全員について刑事責任を問うべきかどうか、早ければ今月中にも最終判断するものとみられます。