東電が海岸際に設けた地中壁のすぐ陸側に井戸を掘って水位を測定したところ、地表から1.2m下に達していることが分かりました。
これは山側から流下してくる地下水が地中壁によりせき止められた結果上昇したものですが、この水位は地中壁の天端よりも0.6m高いので、地下水はその越流高さで地中壁を乗り越えて海に流れ出ていることになります。
早くから心配されていたことが現実に起きていました。
試行錯誤以前の基礎的なミスというしかありません。
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汚染水 「地中壁越え海へ」確認 福島第一 東電、井戸の水位測定
東京新聞 2013年8月11日
東京電力福島第一原発から放射性物質が海に漏れている問題で、東電は十日、汚染された地下水の水位が流出防止用の地中壁の上端を上回ったと発表した。以前から地下水が壁を越えて海へ出ていると指摘されていたが、実測値で壁が機能していないことが確認された。
地中壁は1、2号機と海の間の地中に薬剤(水ガラス)を注入し土を固める工法で、七月上旬から今月九日までに順次造られた。陸から海へ流れる地下水をせき止め、流出を防ぐとされていた。
しかし、技術的な理由で、地表から一・八メートルより下の部分しか壁にならず、上部は普通の土のまま残る。このため、水位が壁より高くなれば地下水は海側へ漏れ出す。
東電は、壁のすぐ陸側に井戸を掘って水位を測定。地表から一・二メートル下に達していた。地中壁の高さを越える〇・六メートル分は海に流れ出ていることになる。
流出の可能性は原子力規制委員会が指摘していて、東電は地下水のくみ上げ作業を始めている。今回の測定結果を受け、東電は「地下水や海水の監視をさらに強化する。地下水の汚染源とみられるトレンチ(地下トンネル)内の汚染水も移送する」としている。