2013年8月29日木曜日

汚染水対策にようやく政府が本腰

 安倍首相は外遊先で、福島原発の汚染水問題に政府が率先して取り組むことを再度明言しました。

 ようやく政府も福島原発の汚染水流出問題に真剣に取り組み出したということです。いまさらですがアメリカのCNNテレビを見て、日本とは扱いが違うことに政府筋は驚いたといいます。そこには政府と癒着している日本のマスメディアとは異なる報道姿勢があったのでしょう。

 政府が本腰をいれる動機が、汚染水問題が東京オリンピック招致に向けてのマイナス要因にならないようにするためというところが笑いですが、取り組みの遅れはもう2年半にも及ぶのですから、“にんじん”が何であれ必死に走り出す必要があります。

 以前から言われていたことですが、中国や韓国はいうまでもなくカナダやアメリカでも、もしも近海の水から放射能が検出されれば天文学的な賠償金額を要求してくるでしょう。そうした問題に比べれば、オリンピックの招致に成功するかどうかなどは微々たるものに過ぎません。

 原子力規制委員長の田中俊一氏が28日の記者会見で、東電福島原発の地上タンクから大量の高濃度汚染水が漏れた問題をめぐり「東電の発表には根拠のない推論が多過ぎる。データ収集の計画や手法などを踏み込んで指導したい」と述べたということです。
 まことに当然な指摘です。
 事故発生以来、繰り返されているあのお粗末な記者会見は、記者クラブ制度の上に安住しているマスメディアと東電の癒着がもたらしたものではないでしょうか。記者たちがその都度的確な質問を発し 糾していれば、あそこまで無内容な発表が続けられる筈がありません。

 ここに来てようやく与党は実務者でつくる「汚染水処理対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、9月上旬にも汚染水問題に関する衆院経済産業委員会の閉会中審査を実施するということです。
 今度こそ国会は国会の機能を果たし、政府には率先して且つ全力を尽くして取り組んでもらって、でき得るかぎり早期に解決して欲しいものです。
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汚染水対策に躍起=五輪招致への影響懸念-政府・与党
時事通信 2013年8月28日
 東京電力福島第1原発の高濃度汚染水漏れへの対応に、政府・与党が躍起となっている。国内外の批判が強まりつつある現状に、政権のアキレスけんになりかねないとの危機感を抱いているからだ。政府内からは、東京が他の2都市と争う2020年夏季五輪の招致レースへの影響を懸念する声も出ている。

 汚染水が海に流出した可能性を東電が認めた7月22日以降、政府は具体策の検討に着手。14年度予算で、第1原発の敷地周囲の土を凍らせて、地下水の流入や汚染水の流出を防ぐ「凍土方式」による遮水壁の設置などを進める方針を決めた。緊急性に応じて13年度予算の予備費活用も検討。国費投入を含め「できることは全てやる」(菅義偉官房長官)との姿勢だ。

 与党も28日、実務者でつくる「汚染水処理対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、取り組みを強化することを確認。民主党などの求めに応じ、汚染水問題に関する衆院経済産業委員会の閉会中審査を9月上旬にも実施する方向となった。
 しかし、汚染水は毎日約400トンずつ増え続けているにもかかわらず、政府の対応は場当たり的な面が否めず、海外からも厳しい視線が注がれている。五輪の開催都市が決まる9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会の直前だけに、政府も国際世論の動向には神経をとがらせており、「(汚染水問題を)招致のネガティブキャンペーンに使われたらきつい。米CNNテレビを見ると、日本とは扱い方が違う」(政府筋)との声が漏れる。
 一方、野党は政府を徹底追及する構えだ。民主党の大畠章宏幹事長は28日、「(対応が)遅過ぎた。政府が前面に出る仕組みを築くことが大事だ」と記者団に語り、政権の取り組みを批判。共産党の穀田恵二国対委員長は記者会見で「(東電社長を国会招致するのは)当然だ」と語った。