政府は、ようやく「福島原発の汚染水対策は国レベルで対応しなければならない」と言明しました。
福島汚染水の海洋流出は事故直後から生じていたという見方が有力です。東電は2年余りひたすらその事実を秘匿するのみで、何の対策も施さないまま時間だけが経過しました。
その現実に照らせば、政府の対応はあまりにも遅きに失したというほかはありません。
8日、有識者会議が開かれ、来月中を目処に、原子炉建屋の山側で 汚染される前の地下水をくみ上げることや、海への流出を防ぐ地中の壁を設置することについて、具体的な方法をまとめることになりました。
この会議で、山側からの地下水を汲み上げ基準値以下の水を海へ放出する可能性についても検討するようにと、政府側から提案がありました。この案は5月に東電から福島県の漁業者に提案されましたが、「地下水と汚染水の区分けがつかない」などとして同意が得られなかったものです。
東電一流の「分からない」とか「データーがない」というだけの説明ではそうなるのは当然ですが、もしもやはりその案が一番有力ということであれば、汚染水が放流水に混入しない方法を確立した上で、再提案すれば良いのではないでしょうか。
とにかく東電流の不毛な対応や手法は一新して、2年余りの完全停滞から一刻も早く脱して欲しいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
基準値以下の水の放出も検討
NHK NEWS WEB 2013年8月8日
東京電力福島第一原子力発電所で、汚染された地下水が海に流出している問題を受けて、茂木経済産業大臣は、国の有識者会議で、汚染される前の地下水をくみ上げて海に放出する対策を、来月中をめどに取りまとめるよう指示しました。
この対策については、ことし5月にも福島県の漁業者に示されましたが、同意が得られておらず、結論が先送りされています。
福島第一原発では、事故から2年5か月近くがたった今も汚染水が海に流出していることが明らかになり、東京電力が、護岸沿いを固めるなどの流出防止対策を進めていますが、山側から大量の地下水が流れ込むことによって、汚染水が増え続けていて、抜本的な対策が求められています。
8日、汚染水の問題を検討する国の有識者会議が開かれ、茂木経済産業大臣は、汚染水を減らすために、原子炉建屋の山側で汚染される前の地下水をくみ上げることや、海への流出を防ぐ地中の壁を設置することについて、具体的な方法を検討するよう指示しました。
そのうえで、「くみ上げた基準値以下の水の海への放出の可能性を含め、今後の進め方を検討してほしい」と述べ、建屋の山側や、地下水を集める施設からくみ上げた放射性物質の濃度が法令の基準以下の水を海に放出する対策を、来月中をめどに取りまとめるよう指示しました。
敷地に流れ込む前に地下水をくみ上げて海に放出する対策について、東京電力は、ことし5月、福島県の漁業者に説明しましたが、「地下水と汚染水の違いについて区別がついていない」などとして同意が得られず、結論が先送りされています。
汚染水の海への漏出阻止で「凍土壁」を計画、福島第一原発
CNN JAPAN 2013年8月8日
(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所で汚染水が海に流出している問題で安倍晋三首相は8日までに、流出を阻止する複合的、迅速かつ効果が確実な防止措置を講じるよう指示した。原発建屋周辺で漏水を防ぐ土壌の「凍土化」などが検討されている。
首相は原子力災害対策本部で記者団に、汚染水の問題は「東電に完全に任せられる問題ではない。国レベルで対応しなければならない」とし、国民の強い懸念もあり早急な解決が必要とされると強調した。
その上で、経済産業相に適切な防止措置を打ち出すよう命じたと述べた。同省は地下水が建屋周辺に入り込み、放射能に汚染されてにじみ出すことを防ぐ「凍土」の壁を設けることを提案したという。
菅義偉官房長官は、この種の壁構築は前例がないとし、政府が主導権を持って進めなければならないと述べた。壁設置に必要な費用を政府が直接負担するともみられる。
東電は先月下旬になって、深刻な汚染水流出の問題を明らかにしていた。同社の原子力・立地本部幹部は今週、汚染された地下水が太平洋に漏出するのを防ぐため地中に遮水壁を設けたが事態の打開につながっていないと指摘。汚染水の太平洋への流出を制御出来ない厳しい状況にあるとの認識を示していた。