2017年8月10日木曜日

10- 新潟・米山知事の原発事故検証が本格始動

 新潟県は8日、福島原発事故の原因を検証する技術委員会を開きました
 米山知事が就任してから初の開催で「事故の徹底的な検証」が本格的に動き出します
 知事は「検証に3、4年かかる」としています。
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新潟・米山知事の原発事故検証、本格始動
日経新聞 2017年8月9日
 新潟県は8日、福島原発事故の原因を検証する技術委員会を開いた。米山隆一知事が就任してから初の開催で、昨秋の知事選で公約に掲げた「事故の徹底的な検証」が本格的に動き出す。県は事故が健康に与えた影響などを調べる専門委員会を設ける方針を説明した。米山知事は「(検証に)3、4年かかる」としており、どの程度の速度で進むのかは不透明だ。

「技術委での検証が原発の安全確保につながる」。8日午後1時30分から開かれた県技術委員会の冒頭。山田治之防災局長はこう述べ、約10人の委員に、米山知事が掲げる「3つの検証」に対する協力を呼びかけた。

 3つの検証とは、福島原発事故の原因、同事故の健康・生活への影響、柏崎刈羽原子力発電所で事故が起こった場合の避難計画の実効性を指す。米山知事は「福島事故の徹底的な検証がなされない限り、柏崎刈羽原発の再稼働の議論は始められない」と一貫して主張。検証の進捗度合いは、東京電力ホールディングス(HD)が目指す同発電所の再稼働と直結する。

 同日の委員会で県側はすでに設置されていた技術委に加えて、「健康・生活委員会」「避難委員会」、各委員会を束ねる「検証総括委員会」を設置する方針を説明した。その後、委員間で今後の進め方などについて議論した。

 終了後、報道陣の取材に応じた京都大学原子炉実験所副所長の中島健座長は「それぞれの専門に分かれて議論できるので効率化が図れる。技術に関しては、今までよりは時間をかけて議論をすることができる」と検証がより深まることに期待を示した。

 原子力規制委員会による柏崎刈羽原発6、7号機の審査は大詰めを迎えている。同日の県技術委員会には東電HDの橘田昌哉新潟本社代表も参加した。同社は3つの検証に協力し、なるべく早く再稼働の議論を始めたい考えだ。

 原発再稼働に慎重な立場を示す米山知事にとっても、公約に掲げた検証を着実に進められるかは重要だ。当初は6月をめどに設ける予定だった検証総括委員会の立ち上げが遅れるなど、今春に公開した行程表には遅れが出始めている。客観性があり、深掘りした検証結果をまとめられるか。米山知事の行政手腕を評価する1つの材料になりそうだ。