東電は25日、原子力規制委から回答を求められていた原発の安全確保に関する「基本的な考え方」を文書で提出しました。しかし焦点だった福島第一原発のトリチウム汚染水の処分などについては具体的な対応方針が示さず、面談で説明したいとしました。
トリチウム汚染水は、本格的に処理(乃至分離)するには電気分解するか蒸発させて分離するしかなく、処理対象が膨大なために概算で20兆円も掛かるとされています。
東電(および規制委)の本心は海洋放流なのですが、地元の反対が強いので安易には口に出せないという事情にあります。
福島民報の記事を紹介します。
(関係記事)
8月25日 トリチウム汚染水の処分策示さず 東電経営陣
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汚染水処分「ゼロ回答」第一原発、
放射性廃棄物具体策なし 東電
福島民報 2017年8月26日
東京電力は25日、原子力規制委員会から回答を求められていた原発の安全確保に関する「基本的な考え方」を文書で提出した。福島第一原発事故の教訓を踏まえた取り組みを強調する一方、焦点だった福島第一原発の汚染水の処分などについては具体的な対応方針が示されず、事実上の「ゼロ回答」となった。
文書には増え続ける汚染水や放射性廃棄物について「どう取り扱うか、どう処分するのか課題がある」との認識を示しながらも、「地元の要請に真摯(しんし)に向き合い、責任を果たす」と回答するにとどまった。「第一原発の廃炉をやり遂げ、主体性のある企業文化を根付かせる」とも答えたが、具体策はなく、文書全体で「誠意」「責任」「安全性向上」といった言葉を何度も使い、社内文化の変化を強調した。
文書の提出は東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)の審査の一環で、規制委は近く、小早川智明社長から回答について直接説明を聞く方針。文書を提出した東電の渡辺沖原子力安全・統括部長は汚染水処分などの具体策について「面談で社長自ら思いをもって説明したい」と答えた。ただ、第一原発の事故処理や、審査が終盤の柏崎刈羽6、7号機を安全に再稼働させるための取り組みに関して具体策を示せず、従来の説明を繰り返す姿勢には厳しい批判が出そうで、審査の合格は見通せない。
規制委は7月、川村隆会長や小早川社長らを呼び、異例の面談を実施した。田中俊一委員長(福島市出身)は「福島の事故処理を主体的にできない事業者に再稼働は認めない」とし、合否判断の前に、経営陣が、汚染水などの問題を解決する考えがあるのか迫った。しかし、東電側が即答できず、文書での回答を指示していた。
■着実に対応を県危機管理部
県危機管理部は「東電には汚染水処分などに関して県内の関係者の声を丁寧に聞くようこれまでも求めてきた。引き続き、地域の意見を踏まえながら問題に着実に対応してほしい」と求めた。
【東電の回答・要点】
◆はじめに
福島の方からは当社が福島第一原発の廃炉を安全にやり遂げることについて、強い要請を頂いている。廃炉の過程には処理水をどう取り扱うのか、放射性廃棄物をどう処分するのかなどの課題があると認識している。地元の要請に真摯に向き合い、責任を果たすことが、私たちの主体性と考えている。福島第二原発や柏崎刈羽原発の今後についても、しっかり検討・判断していく。福島復興、福島第一原発の廃炉、賠償をやり遂げることと、原子力の安全性向上に取り組むことは、当社自身の責任だ。主体性を持ってさまざまな課題をやり遂げる企業文化を根付かせていく。
◆各論点に対する回答
(後 略)