「人権フォーラム石川」が主催した金沢市での講演会で地元出身の荒木福島大准教授が講演し、「福島事故以来、黙らせて言うことを聞かせるというふうに社会はおかしくなった」、「主体性が抑圧されたとき、一人で悩まず仲間を持ち、一人一人が意見を言える社会をつくっていかなければならない」と述べました。
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福島原発事故から6年 もの言える社会つくろう
中日新聞 2017年8月19日
金沢市出身で福島大准教授の荒木田岳さんが十八日、同市安江町の金沢真宗会館で講演し、福島第一原発の事故発生からの六年を振り返った。「事故以来、黙らせて言うことを聞かせるというふうに社会はおかしくなった。福島の人だけでなく、全体の人に関わる問題だ」と訴えた。(小坂亮太)
荒木田さんは事故発生後の政府の対応について「事故前の安全基準では住めないレベルに汚染していると分かっているのに、情報を隠したり基準を緩和したりし、住民の被ばく回避対策を取らなかった」と批判。「ルールに従えば、事故も被ばくも防げたのでは」と語った。
自主的に始めた除染活動が「市民の不安をあおる」と止められたり、二〇一四年に漫画「美味(おい)しんぼ」に発言していない内容が実名で載って非難を受けたりした問題にも触れ、「主体性が抑圧されるのは、皆さんにも起こり得ること。一人で悩まず仲間を持ち、一人一人が意見を言える社会をつくっていかなければならない」と強調した。
講演後、来場者から福島県内の子どもを対象とした甲状腺検査の現状に関する質問があり「がんが確定した人が百九十三人。二千五百人以上が経過観察として心配しながら生活している。被ばくの影響だと認められたところで解決するわけではなく、深刻な問題だ」と話した。
講演は、人権や差別の問題に取り組む市民団体「人権フォーラム石川」が主催し、四十五人が参加した。