宮城県大崎市は20日、1キログラム当たり8000ベクレル以下の汚染廃棄物の試験焼却に関する住民説明会を開き、市とごみ焼却場などを運営する組合が12月にも試験焼却に着手したい考えを伝えましたが、約50人の出席者からは健康不安などから焼却に反対する意見が相次ぎました。
汚染廃棄物を焼却すれば燃焼ガスや飛び灰として放射性物質が周囲に飛散することは明らかで、バッグフィルターでは燃焼ガス中の放射性物質は勿論除去できません。
記事からはその辺の詳細が読み取れませんが、施行者側はその辺のことをまず技術的に十分説明して住民に納得してもらう必要があります。
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<汚染廃処理> 健康不安訴え、試験焼却反対相次ぐ 大崎市説明会
河北新報 2017年8月21日
宮城県大崎市は20日、東京電力福島第1原発事故で生じた国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染廃棄物の試験焼却に関する住民説明会を市役所で開いた。市と、ごみ焼却場などを運営する大崎地方広域行政事務組合は、12月にも試験焼却に着手したい考えを伝えたが、約50人の出席者からは健康不安などから焼却に反対する意見が相次いだ。
7月の市町村長会議で宮城県の圏域処理方針が合意されてから初の開催。説明会では、市内2カ所と宮城県涌谷町1カ所の計3カ所で試験焼却を実施する計画が示された。一般ごみと混焼する汚染廃棄物の上限を1カ所当たり1日1トンとし、検証しながら約半年で1カ所当たり最大30トンを試験焼却する。
焼却場からの放射性物質の外部飛散を抑えるバグフィルターの交換などで、開始時期は早くとも12月になるとの見通しも示された。
市はモニタリングポストの増設や観測頻度を上げる方針を説明。出席者からは「焼却は放射性物質の拡散につながる」「焼却場から漏れる可能性がある。近くで暮らす子育て世代は不安」「焼却を急がず、隔離保管する方が環境影響が少ない」と反対の声が続いた。
市と組合は焼却場や最終処分場の立地地域でも説明会を開く。既に反対を決めた行政区もあり、同意を得て試験着手できるかどうかは不透明だ。
市内の基準以下の汚染廃棄物は6079トン。焼却意向の宮城県美里、涌谷両町分を加えると7200トン余りで、試算では焼却に約6年かかるとされる。伊藤康志市長は「心配や不安は理解できるが、汚染廃棄物を放置できない。保管量も多く、焼却が安全で確実との結論に至った。理解していただく努力を続ける」と述べた。