環境省は3日、福島県大熊町と双葉町で、福島県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の造成工事を始め、それを報道陣に公開しました。
中間貯蔵は最終処分場に納めるまでの間廃棄物を収納するもので保管期間は30年間です。
同省は3月11日までに廃棄物の搬入を始める方針でしたが、2300人以上いる地権者との用地交渉が難航し、中間貯蔵施設への本格輸送開始の見通しは立っていません。また最終処分地もまだ決まっていません。
保管場が完成する4月末をめどに双葉郡と田村市の計9市町村から各1000立方メートルの搬入を終え、その後1年かけて43市町村から試験輸送を行う予定です。
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中間貯蔵施設着工 本格搬入は見通せず
河北新報 2015年2月4日
環境省は3日、福島県大熊町と双葉町で、東京電力福島第1原発事故に伴う同県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の造成工事を始めた。
同省は東日本大震災から丸4年となる3月11日までに廃棄物の搬入を始める方針だが、2300人以上いる地権者との用地交渉が難航し、本格輸送開始の見通しは立っていない。廃棄物の保管期間は最長30年間。最終処分地は決まっていない。
着工したのは本格工事が始まるまで廃棄物を収容する保管場2カ所。帰還困難区域にある両町の工業団地に1カ所ずつ造成する。計約6万平方メートルで収容容量は約2万立方メートル。第1原発から1.5キロ以内にある。
3日、保管場が報道陣に公開された。作業員約100人が重機で除染と整地を並行して進めた。現場の空間放射線量は毎時約5~20マイクロシーベルトで、事故前の県内最大値の125~500倍。
保管場が完成する4月末をめどに双葉郡と田村市の計9市町村から各1000立方メートルの搬入を終え、その後1年かけ43市町村から試験輸送を行う。
県は搬入開始の前提として5項目の確認を国に求めた。県外最終処分の法制化と交付金3010億円の予算化は実現したが、(1)搬入ルートの維持管理と周辺対策(2)施設と廃棄物輸送の安全確保(3)地元との安全協定案の合意-はクリアされていない。
環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長は「(工事に)着手したことが第一歩。地権者の理解を得るため一層丁寧に説明する」と述べた。
国は2011年8月、県に施設の設置を要請。県は14年8月に建設受け入れ方針を決定した。環境省は1月16日、地元との調整が進んでいないため、当初予定した1月中の搬入断念を表明した。