高浜原発3、4号機の運転停止仮処分申請に対して、大津地裁は昨年11月、原発事故の避難計画などが未整備であることなどを挙げ、「原子力規制委が早急に再稼働を容認するとは考えがたい」として、仮処分申請却下の決定を出しました。
しかしその規制委は12日、関電高浜原発3、4号機が新規制基準に適合しているとして川内原発に告ぐ2例目の審査合格を出しました。
この動きが予想されたため1月30日、滋賀県の住民29人が再度、高浜原発3、4号機の再稼働禁止を求めて大津地裁に仮処分を申し立てました。
以上がこれまでの経過ですが、大津地裁で新しく提出された仮処分を担当するのが、昨年5月に福井地裁で大飯原発3、4号機の運転差し止めを言い渡した裁判長の樋口英明氏であることが分かりました。この間に大津地裁に転勤になったものです。
「運転差止めの仮処分決定が出る」との期待が高まっています。
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高浜再稼働、司法が鍵 差し止め仮処分の行方注目
中日新聞 2015年2月13日
再稼働に向け、新しい規制基準を満たしているとする審査書が原子力規制委員会によって正式決定された関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)。だが、粛々と進む規制委の行政手続きとは別に、司法の力が再稼働を遠のかせる可能性が浮上している。
昨年十二月、高浜原発再稼働の差し止めを求め、県内住民らが福井地裁に仮処分を申し立てた。その一カ月前、大津地裁は「規制委がいたずらに早急に再稼働を容認するとは到底考えがたい」とし、高浜原発差し止めの仮処分申し立てを却下。安全性に対する判断は示さなかった。
「だが今回は違う」というのが住民側の観測だ。仮処分を担当するのが、昨年五月に大飯原発3、4号機(おおい町)の運転差し止めを言い渡した裁判長の樋口英明氏。「仮処分決定が出る」との期待が高まっている。
北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の運転差し止めを命じた元裁判長で、住民側弁護団の井戸謙一弁護士は「安全性判断という中身の議論に入れば、昨年の判決と大きく異なる決定は出ないはずだ」と見通す。
関電側も福井地裁の敗訴以降、控訴審から弁護士を二人増やすなど体制を強化。司法判断の行方を警戒する。意見書の中で高浜原発の起動が一日遅れると六億円の経済的損失があると主張し、影響の大きさを訴えている。八木誠社長は定例会見で「仮処分が決定されたら、いわゆる控訴をする」と異議を申し立てる意向を示した。
だが、関電側が異議申し立てをしても、執行停止が認められない限り、仮処分の法的効力は消えない。二〇一五年三月期の連結最終損益が千六百十億円と四年連続の赤字を見込む中、高浜原発の再稼働をてこに経営再建したい関電にとって、仮処分決定が出た場合は大きな痛手となる。次回の審尋は、東日本大震災からちょうど四年となる三月十一日だ。(塚田真裕)