原子力規制委は13日、規制基準審査が進む中電浜岡原発4号機について、海抜22メートルの防潮堤や原子炉放圧時のフィルター付きベント設備などの現地調査を行いました。
浜岡原発は将来必ず起こるとされている東海大地震の震源域の中央付近に立地しているため世界的に最も危ない原発であるとされ、島崎委員長代理が在任中には、「巨大地震の発生確率がほかの原発に比べてはるかに高い。震源域で何が起こるか知見も限られている」として、審査では地震の想定が妥当かどうかなどを慎重に確認する方針を示していました※。
直下型地震の対策は防潮堤の設置で済むものではないので、上述のことについて規制委は見解を明確しなくてはなりません。
耐震性強化のために基準地震動を従来の800ガルから1200ガルに引き上げたということですが、柏崎刈羽原発では中越沖地震の際には2000ガル以上を実測しています。柏崎では直下型でなかったにもかかわらずそれだけの加速度が生じたのですから、1200ガルでは(単に現状の強度の限界が示されたということに過ぎず、)明らかに不十分です。
また津波高さ21mに対して22mの防潮堤で阻止できるというのもあり得ないことで、津波が防潮堤に到達すればスロッシングと似たような現象が起きて水が盛り上がるので、軽々と防潮堤を越えて発電設備を水浸しにします。
現地の視察は結構なことですが、規制委はまず直下型地震に対して十分な対策が取られているのかを明らかにする必要があります。
※ 2014年2月28日 もしも浜岡原発の審査が通るなら・・・
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浜岡4号機、初の調査 原子力規制委
中日新聞 2015年2月14日
原子力規制委員会は十三日、再稼働の前提となる安全審査が進む中部電力浜岡原発4号機(御前崎市)で、津波対策や設備を現地調査した。
浜岡に現地調査が入るのは初めて。原子力規制庁の青木一哉・安全規制管理官ら二十人が中電側から説明を受けた後、三チームに分かれて現場へ。海抜二十二メートルの防潮堤や、放射性物質を除去して排気する設備(フィルター付きベント)の状況を確認した。
委員長代理の更田(ふけた)豊志氏も参加予定だったが、別の会合で取りやめになった。
◆対応追われる中電
原発の新規制基準は、過酷事故を想定した対策のほか、意図的な航空機衝突といったテロや建屋の浸水防止対策を要求している。電力各社は、原発の耐震設計の元になる基準地震動を引き上げたり、過酷事故の場合に放射性物質を除去して排気する特殊設備を新設したりと、対応に追われている。
中電は、福島第一原発事故の四日後、「さらに安全性を高める」として、浜岡原発に十二メートル以上の防潮堤を新設すると発表。南海トラフ巨大地震の被害想定を分析し、防潮堤の高さをその後、段階的に二十二メートルまで引き上げ、火災時の延焼を防ぐ壁の設置など安全対策工事を進めてきた。
二〇一四年十月には、事故時の拠点となる緊急時対策所を強化するとして工事見直しを発表。4号機の工事完了は一六年九月と予定より一年ずれ込んでいる。
中電は「安全確保のために必要な対策を取っていく」と説明。工事費の総額は、当初の三百億円から三千数百億円に膨らんでいる。