2015年2月22日日曜日

再稼動容認の自治体には支援金 2015年度予算

 安倍政権は、2015年度予算案でも原発の再稼働を急がせるため多種多様な策を盛り込んだということで、東京新聞はその一例を取り上げました。
 それは再稼働を認めた自治体に配る新しい交付金で、予算案の発表資料には新しい交付金の明記はなく、新設したことが分からないようになっています
 原発立地自治体に交付する「電源立地地域対策交付金」は2015年度は912億円ですが、それとは別に15億円を上記の用途に当てるということです。
 
 原発の危険手当にも相当する交付金は極めて潤沢なので、各自治体の収入の半分かそれ以上にもなっています。そうした状況が数十年も続けば、各立地自治体は交付金がなくては立ち行かなくなります。
 従って完全な脱原発を目指す場合でも、一挙に交付金をゼロにするわけにはいかないので、各自治体がその状況下で自立できるようになるまでは継続する必要があるとされています。
 
 しかし今回の15億円はそういう趣旨のものではなく、あくまでも再稼動に同意することを促す目的のもので、不健全というしかありません。
 
 東京新聞の記事を紹介します。
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再稼働促す政権 容認自治体に交付金
東京新聞 2015年2月21日
 原発を重視する安倍政権は、二〇一五年度予算案でも再稼働を急がせるため多種多様な策を盛り込んだ。このうち経済産業省内からも「やり方がおかしい」と異論が上がったのが、再稼働を認めた自治体に配る新しい交付金だ。予算案の発表資料に新しい交付金の明記はなく、新設したことが分からないようになっていたからだ。 (吉田通夫)
 
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 資料によると、一四年度から続く「原発施設立地地域基盤整備支援事業」の予算額が、前年度の八億円から二十三億円に膨らんでいた。これは原発停止の影響を受けている自治体の経済を活性化するため、特産品の販路開拓などを支援する政策だ。なぜ三倍近くにも膨らんだのかという本紙などの質問に対し、経産省は新しい交付金十五億円分を上乗せしたことを認めた。
 
 放射線モニタリング事業の民間委託など経済活性化に使ってもらう想定で、同事業の一環に位置付けたという。しかし「厳密に使途を限定しているわけではない」と担当者。実態は原発の再稼働を認めた自治体に配る新しい原発マネーだ。
 これまでも国は、原発のある自治体に、稼働実績に応じて「電源立地地域対策交付金」を配ってきた。震災後は全国の原発が停止したものの、政府は地方財政への影響を避けるためすべて稼働しているとみなして交付してきた。今年は関西電力の高浜原発や九州電力の川内(せんだい)原発などの再稼働を見込み、稼働を認めた自治体の財政を優遇しなければ「交付金制度の趣旨に照らして公平でない」(経産省幹部)と、新交付金制度創設の背景を説明する。
 
 地方自治体はいったん原発マネーを受け取ると、交付金ほしさに原発を求め続け廃炉が進まない。原発マネーが「麻薬(電力会社関係者)に例えられるゆえんだ。古い原発も抱える福井県は、廃炉が決まった場合も財政支援を続けるよう国に求めている。経済も原発頼みになり、地域の特産品や地元企業を生かした本来の経済政策が手薄になる。
 新しい原発マネーを忍ばせた一五年度の原発関連予算案には、原発への依存度を下げるための本気度は感じられず、原発を抱える自治体の自立も阻む恐れがある。