福島原発から約70キロ離れた森林地域にある畑の近くで捕獲されたニホンザル61頭の筋肉中に放射性セシウムが大人のサルで平均628ベクレル/kg(子ザルは496ベクレル/kg)含まれていることが分かりました。
それに対して青森県下北半島のニホンザル31頭は検出限界の10ベクレルを下回りました。
(この記事のオリジナルは2月9日付毎日新聞ですが、公開されていないためインターネットの連続ツィート記事より作成しました 事務局)
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福島のサル 内部被ばく 放射性セシウム、筋肉中に78〜1778ベクレル
(オリジナルは2月9日付毎日新聞)
福島市の森林地域に住む野生のニホンザルは、他の地域と比べて筋肉に放射性セシウムが多く蓄積し、白血球数が少ないなど血液成分にも影響が出ていることが日本獣医生命科学大の落合和彦講師と羽山伸一教授らの調査で分かった。
福島第1原発事故で放出された放射性セシウムが原因と考えられ、大人のサルより子ザルの方が影響が大きかった。羽山教授らによると、福島第1原発事故で人間が今回のサルと同程度の内部被ばくをしたことは確認されていない。
調査は2012年4月〜13年5月、福島第1原発から約70キロ離れた森林地域にある畑の近くで捕獲されたニホンザル61頭と、同原発から約400キロ離れた青森県下北半島のニホンザル31頭を比較した。
「下北」のサルは筋肉1キログラム当たりのセシウムが検出限界の10ベクレル未満に対し、福島のサルは78~1778ベクレルだった。平均値は大人のサルが627・8ベクレル、子ザル(0〜4歳)が495・4ベクレルだった。
血液検査をすると、福島のサルは赤血球数やヘモグロビンが下北のサルに比べて約1〜3割低かった。白血球数の低下は更に顕著で、特に子ザルの平均値は下北が1マイクロリットル当たり1万4860個だったのに、福島は半数以下の6823個だった。
更に福島の子ザルへの調査結果を分析すると、筋肉中のセシウム濃度が高いほど白血球数が少ないことも判明した。
羽山教授らによると、野生のニホンザルは木の実や葉を中心に食べるが、雪国の福島では、木の皮や芽を冬季に多食する。木の皮などには福島第1原発から放出されたセシウムが付着し、筋肉のセシウム濃度の上昇につながったと考えられるという。
サルが捕獲された福島市の森林の土壌は11年時点で1平方メートル当たりのセシウムが1万〜30万ベクレルのレベルと推定されている。
羽山教授は「子ザルは放射性物質による影響を受けやすいと考えられる。サルの健康被害は確認できていないが、免疫低下による感染症へのリスクが上がっている可能性は否定できない」と指摘している。