栃木県塩谷町への最終処分場設置計画について、日弁連や日光市民からも疑問視する声が上がっています。
日弁連の廃棄物部会などは6日、塩谷町や県庁を訪れ、担当者に聞き取りを実施し、今春にも、指定廃棄物の処分をめぐる法制度に重大な欠陥があるとして、国に意見書を提出する方針です。
日光市民有志も市の主要な施設と候補地の距離を示した地図を作り、これまで200部を希望者に配布しました。そして「日光市には、候補地から数キロしか離れていない施設が多い。国は日光市にも責任ある対応をすべきだ」と訴えています。
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日弁連が計画疑問視 日光では住民が地図配る
東京新聞 2015年2月7日
高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場をめぐり、候補地となっている塩谷町以外でも、国の処分場計画に疑問を投げかける動きが広がっている。日弁連の廃棄物部会などは六日、塩谷町や県庁を訪れ、担当者に聞き取りを実施。隣の日光市では、住民有志が、市の主要な施設と候補地の距離を示した地図を作り、地域で配布を始めている。
日弁連は今春にも、指定廃棄物の処分をめぐる法制度に重大な欠陥があるとして、国に意見書を提出する方針。六日の調査結果を意見書に反映させるという。
日弁連や県弁護士会の計十三人はこの日、見形(みかた)和久町長や町の担当者らと面会。指定廃棄物の最終処分に対する町長自身の考え方や、反対運動の状況などを質問した。候補地の国有林も視察した。
その後、指定廃棄物問題を担当する県廃棄物対策課を訪問し、県が候補地の選定を検証するために設置している有識者会議の役割についても聞き取りをした。
調査を終えた坂本博之・日弁連廃棄物部会長は「指定廃棄物は栃木県だけの問題ではない。秋に千葉県で予定される日弁連のシンポジウムでは、大切なテーマの一つとして塩谷町のことを報告したい」と話し、問題を注視していくとした。
日光市でも、候補地がある塩谷町の高原山(たかはらやま)でハイキングを楽しんできた中高年の有志が「指定廃棄物の問題は、日光市民こそ真剣に考えなければ」と一念発起。日光市高徳の杉山憲司さん(76)が中心となって先月、市内の小学校や観光地、浄水場から候補地までの距離を示す地図を完成させた。
杉山さんは「日光市には、候補地から数キロしか離れていない施設が多い。国は日光市にも責任ある対応をすべきだ」と強調。これまで約二百枚の地図を希望者に配布した。教育関係者や子育て世帯からの問い合わせが増えているという。 (大野暢子)