2015年2月7日土曜日

原発は基幹電源になりうるのか

 河北新報の連載記事「議論の土台」の(4)は「基幹電源ですか」です。
 
 政府は原発を「ベースロード電源」と位置付けていますが、原発は持続的に維持できる安定電源でしょうか。日本では使用済み核燃料の処理が全く進んでいません。また各原発が保有している核燃料プール(自然崩壊により廃燃料からの発熱量が減じるまで数年間保管するプール)も平均して数年間分の余裕しかありません。
 肝心の核燃料も、いまのままの規模で世界中の原発が運転されていれば10年後には、採掘量が減って供給が追いつかなくなります。そうなれば価格が急騰し、安定的な入手もできなくなります
    ※ 2013年7月14日 2020年代、高騰する核燃料で世界中の原発が崩壊 
 
 経産省を先頭とする原子力ムラが強引に主張している、「原発=基幹電源」の位置づけは基本的に誤っています。
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<神話の果てに>「再生エネも選択肢」
    /第15部・議論の土台(4)基幹電源ですか
河北新報 2015年2月6日
<「争奪戦の様相」>
 「特定電源に依存するのは危険」「資源調達の多様化が求められる」
 東北の企業関係者や東北電力でつくる東北エネルギー懇談会(仙台市)は2014年、広報誌で半年にわたって特集を展開した。
 テーマは「エネルギー安全保障」。国際情勢を踏まえつつ、政府が「ベースロード電源」と位置付ける原発の稼働ゼロが続く問題点を解説した。
 懇談会の関口哲雄専務理事は「人口増や新興国の需要拡大で、世界はエネルギー争奪戦の様相を呈するだろう。安全保障の観点はますます重要になる」と狙いを話す。
 日本の1次エネルギー供給に占める自給率は12年時点で6%。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国で下から2番目の水準にとどまる。
 福島第1原発事故の後、国内の電力供給は火力への依存度を増した。政府や電力業界は「主要燃料となる原油、液化天然ガス(LNG)の輸入が止まれば日本は立ち行かない」として、原発再稼働の必要性を強調する。
 
<受け入れを中断>
 原発で使うウランも海外頼みだが、1度の燃料交換で1年以上使え、調達先もオーストラリア、カナダ、アフリカ諸国などに分散する。対照的に原油の8割、LNGの3割は中東産。政情が流動化すれば輸入が滞る恐れをはらむ。
 「構造上、日本のエネルギーは極めて不安定だ」。関口専務は電源構成の多様化を訴える。
 ただ、火力偏重の打開策が原発とは限らない。環境エネルギー政策研究所(東京)の飯田哲也所長は「太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及こそ有力な代替策。国が本気になれば十分可能だ」と指摘する。
 国は12年7月、再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)を導入した。電力各社に民間発電分の購入を義務付けた結果、太陽光を中心に事業参入が相次いでいる。
 国認定の計画ベースで、東北電管内でも再生エネの発電能力は夏の最大需要の8割程度まで急増した。だが同社は昨秋、「送配電に技術的な制約がある」と受け入れを中断。太陽光について年明けに再開したものの、買い取りの先行きは不透明感が漂う。
 
<コストに課題も>
 再生エネのコスト面にも課題が残る。
 FITによる電力各社の電力購入費は、付加金として消費者に転嫁される。国が試算した標準家庭の付加金は年2700円(14年度)。認定済みの計画が全て実行されれば、金額が4倍程度に膨らむ可能性もある。現行制度を維持するなら国民の負担増は不可避だ。
 化石燃料の代わりに原発と再生エネのどちらに軸足を置くのか。最適な答えは、まだ見えない。
 いずれにしてもハードルは低くないが、「原発の事故は国家的危機を招く。再生エネの割合を1%ずつでも引き上げることが、より確実な安全保障になるはず」と飯田所長は力説する。
 
[1次エネルギー供給]電気やガソリンなどとして最終消費されるエネルギーを加工前の原油などに換算したエネルギー量。送電ロスや発電・転換段階の自家消費分なども考慮して算出する。電力のほか石油製品、製鉄に必要なコークス用原料炭なども含む。