2015年2月27日金曜日

外洋放流は当初から規制委も認識 今度はデタラメの解決策

 福島原発の汚染水が排水溝を通じて外洋に放流されていたことは、遅くても2013年11月には規制委は東電から報告を受けていたのに、規制委は対策を明確に指示していなかったことが明らかになりました。
 田中俊一委員長は25日の記者会見で、「放置していたわけではなく、会合で議論していた。規制委に責任問題はまったくない」と述べましたが、そういう言い訳では納得出来ません
 
 また田中委員長がその記者会見で、「排水溝を港湾内に流れ込むようにした方がいいと思う」と述べたことを受けて、東電は26日、雨水が流れる排水溝にポンプを設置し、港湾内に通じる別の排水溝に移すと明らかにしたほか排水溝を港湾内につなげる形に付け替えることも検討するとしています。
 
 しかし港湾と外洋を仕切っている堤は、コンクリートブロックと大石を断面を台形の形に積み上げて、頂部のみをコンクリートの構造としたいわゆる透過堤なので、下部は石やブロックの間隙を通じて外洋とつながっています。内側に張ったというシルトフェンスも水の流通を阻止するものではありません。そもそも潮の満ち干に伴っていくらでも海水は出入りしています。
 従って汚染した排水を港湾内に導くことが何の解決にもならないのは明らかなのに、規制委も東電もまことしやかに解決策であるかのように振舞っているのは一体どういうことなのでしょうか。
 (漁連に)バレさえしなければ何をしても良いと思っているようです。
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汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず
東京新聞 2015年2月26日
 東京電力福島第一原発の排水溝から、高濃度の汚染水が外洋に漏出している問題で、原子力規制委員会は遅くとも二〇一三年十一月、東電から漏出の報告を受けていたのに、排水溝の付け替えなど有効な対策を明確に指示していなかったことが二十五日、規制委や東電への取材で分かった。現在も、外洋への汚染は続いている。 
 
 東電は漏出の兆候として一三年十一月ごろ、1~4号機の山側を通るK排水溝を流れる水に含まれる放射性セシウムなどの濃度が高いことを規制委に報告。昨年四月以降の測定で、法令で放出が認められている濃度基準を上回る数値であることを確認した。
 規制委は一四年一月から作業部会で議論を始め、二月には東電に「一五年三月末までに濃度基準を下回るように」と文書で求めた。作業部会では、メンバーから、浄化対策が講じやすい専用港内に排水溝の出口を付け替える案や、海に放出する前にいったん水をためて、基準を満たしていることを確認した後に排出する案などが出された。
 ところが、東電は「検討中」「データの整理中」などの答えを繰り返し、結局は排水溝内を清掃する方針を示し、部会で出た改修案はうやむやになった。
 その一方、東電は一四年四月から一週間に一回、排水溝の流量や放射性物質の濃度などの測定を開始。日常的に汚染された水が流れ、雨になると濃度が急上昇する状況を明確につかんでいた。
 
 しかし、規制委は東電に測定データを要求せず、東電がどんな対策を練っているのか積極的に把握しようとせず、待ちの姿勢に終始した。その結果、今月二十四日に東電が高濃度汚染水の漏出のデータを報告するまで、規制委は明確に状況を把握できていなかった。
 規制委の金城慎司事故対策室長は「東電がデータの整理中と答えていたので、待っていた。排水溝近くののり面をカバーで覆ったり、除染するなど汚染源を取り除いてきたのを確認してきた」と釈明した。
 田中俊一委員長は二十五日の記者会見で「排水溝は雨水などがあり、コントロールできない。放置していたわけではなく、会合で議論していた。(規制委に)責任問題はまったくない」と述べた。
 
◆政府なお「状況コントロール」
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日の記者会見で、東京電力福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けていた問題について「港湾外の海水の濃度は法令告示濃度に比べ十分に低い。汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている」と述べた。政府は遅くても二〇一三年十一月以降、継続的な汚染水漏れを把握しながら、外洋への影響を否定してきた。
 安倍晋三首相は二〇一三年九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島第一原発について「アンダーコントロール(管理されている)」と明言。汚染水漏れが続いていた一四年十月の参院本会議で、この発言の撤回を求められた際も「全体として状況はコントロールされている」と繰り返した。
 これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は二十五日の記者会見で、汚染水漏れについて「まったくアンダーコントロールではない状況が証明されている」と指摘。「(所管する)経済産業省がきちっと監督をしていないことの裏返しだ。国会論戦で責任を厳しく追及していきたい」と述べた。
 
 
流出汚染水、港内へ 雨水をポンプで移動
東京新聞 2015年2月26日
 東京電力福島第一原発2号機原子炉建屋から放射性物質を含む雨水が排水溝を通じて外洋に流出していた問題で、東電は二十六日、雨水が流れる排水溝にポンプを設置し、港湾内に通じる別の排水溝に移すと明らかにした。排水溝を港湾内につなげる形に付け替えることも検討するとしている。
 
 東電は昨年五月、他の排水溝に比べて問題の排水溝の水の放射性物質濃度が降雨時に上昇することを把握した。しかし測定結果を公表せず、海洋流出を防ぐ対策もとっていなかった。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は二十五日の記者会見で「排水溝を港湾内に流れ込むようにした方がいいと思う」と述べ、東電に汚染防止対策を求めた。
 福島県や地元市町村、専門家などでつくる廃炉安全監視協議会が二十七日、立ち入り調査する。