電力会社でつくる電気事業連合会は、廃炉作業中や建設中を含む国内の原発59基などから出る低レベル放射性廃棄物のうち、放射能濃度が比較的高く、地下50メートル以下に埋める必要があるごみは1万4331立方メートル(福島第一原発1~3号機を除く)に上るとの試算をまとめました。
地下50メートル以下は「ごみの管理期間」などの基準がないので、原子力規制委が廃棄物処分基準の策定に向け検討を始めるにあたり電事連が基礎資料として提出したものです。ただし基準ができても実際に大量のごみを処分できる場所を確保できるかは不透明です。
使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の処分地はこれとは別で、深度も深く(外国の例では1000m程度)数万年間安定している地層を選ぶ必要があります。
この処分地の選定については、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年に立地の公募を始め、これまで約500億円の経費を使いましたがまったく進捗していません。
これに関して日本学術会議は2年がかりで検討した結果、2012年9月に、「地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えない。地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しい」との結論を出し、核燃料処分に関する政策の白紙見直しを求める提言をまとめています。
世界でも、処分地が決定したのはフィンランドとスウェーデンの2カ国だけです。
(関係記事)
2014年1月6日 核のごみの処分地選定急展開か
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「地下50メートル処分」1.4万立方=原発運転・廃炉のごみ
-電事連試算
時事通信 2015年2月9日
廃炉作業中や建設中を含む国内の原発59基などから出る低レベル放射性廃棄物のうち、放射能濃度が比較的高く、地下50メートル以下に埋める必要があるごみは1万4331立方メートルに上るとの試算を、電力会社でつくる電気事業連合会がまとめたことが9日分かった。
電事連が原子力規制委員会に提出した資料で判明した。通常のドラム缶に換算すると7万1600本以上に相当する。ごみの7割は運転によって発生する交換部品などで、原発や再処理工場を動かすほど増加する。
地下50メートル以下は「余裕深度」と呼ばれ、ごみの管理期間などの基準がない。規制委は策定に向け検討を始めたが、基準ができても実際に大量のごみを処分できる場所を確保できるかは不透明だ。
試算の対象は、全国の原発48基▽建設中のJパワー(電源開発)大間原発(青森県)、中国電力島根原発3号機(松江市)▽廃炉中の東京電力福島第1原発1~6号機、日本原子力発電東海原発(茨城県)、中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)▽日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)、MOX燃料加工工場(同)。
廃炉中の浜岡1、2号機と東海原発を除く56基は運転期間60年、再処理工場とMOX燃料加工工場は同40年と仮定。福島第1原発1~3号機は解体廃棄物の発生量の見積もりが困難として除外するなどした。運転に伴い発生する廃棄物は約1万100立方メートル、解体によって発生する分は約4200立方メートルだった。