2015年2月26日木曜日

福島原発汚染水垂れ流しに漁連が怒りの声

 東電が、福島原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが、24日、明らかにされました。
 昨年月に外洋に汚染水が直接放流されていることを把握しながら公表せず、何らの対策も取りませんでした
 
 特に1~4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)はほかよりも一段高い汚染濃度を示し例えば、昨年26日には、リットル当たりセシウムが1010ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは1500ベクレルで、日常的に、両物質とも数十ベクレル以上のレベル流量は一日当たり約1700トンにります。
 2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性があるとされています
 
 この排水を外洋に直接放流するのを止めて仮に港湾内放流に変更したとしても、若干の時間差が生ずるだけで基本的には全ての放射性物質は外洋に流出します。
 
 福島県漁業協同組合連合会は25日、この問題について東電と国から説明を受けましたが、問題を把握しながら対策を講じなかったことに、出席者からは「信頼関係が崩れた」「漁業者を甘く見ているのか」と怒りの声が相次ぎました
 
 東電と国は福島原発の汚染水対策として、建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみ上げた地下水を浄化して海に流す方針で漁業者に理解を求めていますが、東電のこの問題での信じがたいような対応が明らかになった以上、とても収まりがつくとは思われません。

 東電が原発を扱うに値しない企業であるといわれる理由が良く分かります。
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福島第一汚染水垂れ流し 漁連「信頼崩れた」
東京新聞 2015年2月25日 
 福島県漁業協同組合連合会は二十五日、同県いわき市で組合長会議を開き、東京電力福島第一原発2号機の原子炉建屋屋上から汚染雨水が排水路を通じて外洋に流出していた問題について、東電と国から説明を受けた。東電が問題を把握しながら対策を講じなかったことに、出席者からは「信頼関係が崩れた」「漁業者を甘く見ているのか」と怒りの声が相次いだ。
 内堀雅雄県知事はこの日の関係部長会議で「県民に不安を与える問題が起きたこと、情報が速やかに公表されなかったことは遺憾だ」と述べ、県や地元市町村、専門家でつくる廃炉安全監視協議会の立ち入り調査を近く行う考えを示した。
 
 東電と国は第一原発の汚染水対策として、建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみ上げた地下水を浄化して海に流す方針で漁業者に理解を求めているが、今回の汚染雨水の流出で反発が強まりそうだ。
 会議では、いわき市漁協の矢吹正一組合長が「以前から分かっていたのになぜ黙っていたのか。漁業者は大ショックで、サブドレンどころではない」と批判。相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長も「東電と漁業者の信頼関係が崩れた」と述べた。
 
 
汚染水 外洋に垂れ流し 1年前に把握、放置 福島第一
東京新聞 15年2月25日
 東京電力が、福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが二十四日、分かった。外洋への継続的な漏出を昨年四月に把握しながら公表せず、排水溝を専用港内に付け替えるなどの対策も取っていなかった。(荒井六貴)
 
 東電によると、昨年四月十六日以降、一週間に一回、四本ある排水溝の出口付近で流れる水を採取し、放射性セシウムやストロンチウムなどを分析。当初から四本とも明確に汚染が確認され、特に1~4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)では、ほかよりも一段高い濃度を示していた。
 例えば、昨年八月二十六日には、一リットル当たりセシウムが一〇一〇ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは一五〇〇ベクレルと、水としては非常に高い値だった。日常的に、両物質とも数十ベクレル以上のレベルで推移している。流量は一日当たり約千七百トンに上る計算になる。2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性がある。
 
 ほかの排水溝も、K排水溝ほどではないものの、日常的に汚染が確認され、降雨で濃度が上がる同様の傾向を示している。
 東電は、一昨年八月にタンクからの高濃度汚染水漏れを受け、タンク群近くのC排水溝の出口は、水が比較的拡散しにくい専用港内に付け替えた。
 しかし、東電は他の排水溝は対策を取ろうとせず、昨年四月以降のデータを公表しようともしなかった。
 東電は、自社が実施する外洋の濃度測定で、セシウムとストロンチウムなどはほとんどが同一ベクレル以下であるとして、「外洋には影響はない」と説明している。
 東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「(排水溝内を清掃するなど)できるだけ放射性物質の濃度を下げるという方策を取ってきた。(漏出防止については)重要な項目であるので、検討を進めたい」と話した。
 
◆東電、今も続く隠蔽体質
 <解説> 東京電力は「福島復興への責任を果たす」と強調する一方で、福島第一原発から高濃度汚染水が漏れ続けているのを知りつつ公表せず、対策を講じようともしなかった。東電の隠蔽(いんぺい)体質は今も続き、福島を裏切り続けていたとも言える。
 海に出た汚染水は、波や潮流で急速に薄まる。海水魚は取り込んだ塩類をどんどん放出するため、淡水魚に比べセシウムなどを体内にためにくいのも事実だ。
 しかし、汚染水は「八」の字形をした原発専用港の中でブロックされているどころか、外洋を直接汚していた。しかも雨のたび通常の百倍の濃度にまで高まる状況。こんな状況を放置していて何も影響が出ない保証はない。
 東電の精度の低いモニタリングでも、原発の南北にある放水口近くの海水から時折、一リットル当たり数ベクレル、高い時には一〇ベクレルを大きく超える放射性セシウムが検出されてきた。こうしたデータは、海の浄化作用でもカバーしきれない汚染が続いていることを示している。
 せめて問題の排水溝を専用港内に付け替え、港内の海水を浄化する機能を強化しないと、復興に向けて試験操業を続ける地元の漁業者にとっても大きな痛手となりかねない。
 本紙と共同で福島や首都圏各地の放射能汚染調査を続けてきた独協医科大の木村真三准教授は「やはり原発の状況を、東電自身ではなく、第三者がきちんと調べないと、信頼回復につながらないのではないか」と指摘した。(山川剛史)